日本精蠟、26年12月期は営業利益53.4%増へ 原料転換で利益水準改善・基幹工場リニューアルで事業基盤強化

投稿:2026/02/20 19:00

目次

瀧本丈平氏:日本精蠟代表取締役社長の瀧本です。本日はお忙しい中ご視聴いただき、ありがとうございます。当社の2025年12月期の決算についてご説明します。

まず当社の概要を簡単にご紹介した後、昨年の業績概要と今期の業績予想についてお話しします。

会社概要

当社の概要についてです。当社は、スペシャリティ・ワックス事業をグローバルに展開し、お客さまに常に新しい価値をお届けし続けることを信条としています。

創業は1929年で、間もなく100周年を迎えます。

事業内容

当社は、日本で唯一のワックス専業メーカーです。高い品質と確かな技術力を背景に、国内外の幅広い用途でご使用いただいています。

用途の中では、ゴム用、特にタイヤ向けが売上高全体の27パーセントを占めています。タイヤの主原材料であるゴムにワックスを練り込み、タイヤ使用中にワックスが表面に滲み出して薄い膜を作ることで、空気中のオゾンによるタイヤの劣化やひび割れを防止します。

次いで、インキ用途が売上高の20パーセントを占めており、主にプリンタートナーに使用されています。トナーにワックスを混ぜることで、プリンターで紙に印刷する際のにじみを防止する役割を果たしています。

蝋燭用途は6パーセントで、古くから神仏用として使用されてきましたが、近年ではアロマキャンドルといった嗜好品としても親しまれています。接着剤用途も6パーセントで、接着性樹脂に混ぜて流動性を付与する役割を果たしています。

これらの他にも、ダンボールに耐水性を付与する用途や、ガムの噛み心地を調整する用途、さらには口紅やシャンプーといった化粧品や日用品、果実袋などの農業用資材など、日常生活のさまざまな場面で広く使用されています。

事業系統図

当社グループは、石油精製メーカーなどから原料を購入し、そこからさまざまな性能・品質を持つ異なるワックスを取り出します。その後、不純物を取り除いたり、化学反応で性質を変えたり、他の材料を混ぜたりすることで、お客さまが求める性能・品質を持つワックス製品を製造しています。

現在、国内外の約1,400社の幅広い業界のお客さまへ、さまざまな形状・形態の450種類の製品を提供しています。また、原料からワックスを取り出した後の副産物である重油は、社内でボイラー用燃料として使用し、余剰分は社外に販売しています。

2025年12月期通期業績サマリー

2025年12月期の業績についてご説明します。当期は在庫削減によって棚卸資産を減少させることでキャッシュ・フローを増加させ、財務体質を健全化させることに取り組みました。具体的には、販売数量より少ない量を生産することで在庫を削減しましたが、その結果、固定費負担が増加するため、利益は前期から減少する業績予想としていました。

実績については、主に上期の販売が低調だったこともあり売上高・利益は当初予想を下回りましたが、在庫削減を計画どおり進めた結果、営業キャッシュ・フローおよびフリー・キャッシュ・フローはともに予想を上回りました。

販売の概況

販売の概況です。上期では、トランプ関税をはじめとした世界経済の先行き不透明感から、原材料の購入を控え気味にされたお客さまもいらっしゃったため、販売は低調に推移しました。下期に入り回復は見られたものの、通期の販売数量は前期より9パーセント減少しました。

一方、物価高による物流費をはじめとしたコスト高騰に伴い価格改定を実施したこと、また、高付加価値品の販売に注力したことにより、販売単価は前期比2パーセント上昇しましたが、販売数量の減少を補うには至らず、販売金額は減少しました。

また、重油はワックスの生産過程で副産物として生産されるものですが、購入原料よりも安価な逆ザヤでの販売となることから、これまでも原料選択や生産工程の工夫により生産量の削減に取り組んできました。当期は、在庫削減のためワックス生産数量を抑えたことで、重油の生産数量が減少したことも重なり、販売数量は前期から36パーセント減少しました。

損益計算書(要約)

損益計算書です。売上高は、先ほどご説明した販売金額の減少により197億7,600万円となりました。この売上高の減少に加え、在庫削減の取り組みに伴う固定費負担が増加したこともあり、営業利益は11億7,300万円となりました。営業外費用では、2023年10月に借り入れた30億円の資本性劣後ローンのうち、元本15億円相当額を期限前弁済したことで、支払金利の負担を軽減しました。

また、後ほどお話しする基幹工場のリニューアルに向けた準備として、旧設備の減損を特別損失に計上しました。

これらの結果、当期純利益は6億9,700万円となっています。

キャッシュ・フロー計算書(要約)

キャッシュ・フロー計算書です。当期純利益は前期より減少しましたが、在庫削減を計画どおり進めた結果、営業キャッシュ・フローは36億8,600万円、フリー・キャッシュ・フローは30億9,000万円となり、いずれも予想を上回り、財務体質の健全化につながりました。

貸借対照表(要約)

貸借対照表です。在庫削減に取り組んだ結果、棚卸資産が大きく減少し、現預金が増加しました。また、資本性劣後ローンの元本15億円相当額を期限前に弁済したことによる固定負債の減少を含め、負債合計額は前期比で30億円以上減少しています。

2025年12月期の主要な取り組み

2025年12月期の主要な取り組みについてご説明します。当期は、当社の事業基盤を強化し、将来の成長につなげるために、スライドに黒文字で記載した施策を方針として取り組んできました。赤で記載した項目がその実績です。

新しい高付加価値のワックス製品を生み出す取り組みでは、撥水加工に適したワックスなどの新規製品や、価格競争力を向上させるために原価を抑えた既存製品を開発し、お客さまに採用されました。また、ライスワックスに関する当社独自の技術について特許を出願し、当社製品の優れた機能性を紹介するため、「サステナブルマテリアル展」への出展も行いました。

工場の設備投資では、基幹工場である徳山工場の老朽化した設備を抜本的にリニューアルする計画を策定し、既存設備の一部を解体することを決定しました。この跡地には、新製品の製造設備や、生産効率および品質の向上に寄与する設備を建設する予定です。

また、工場を全停止する必要のある法定の定期修理について、従来は2年に1度だったものを4年に1度に変更する準備が整い、今後4年間は連続で工場を運転できるようになりました。今後の定期修理コストは大幅に減少する見込みです。

人事制度の関連では、初任給の引き上げを含む賃金制度の見直しを実施しました。また、若手人材の確保を目的とした奨学金返還支援制度を導入したほか、より良い職場環境の実現に向けて、従業員が仕事にやりがいを感じているかを継続的に調査するエンゲージメントサーベイを開始しました。

今後も、社内外から魅力ある企業と評価されるよう、取り組みを継続していきます。

2026年12月期業績予想➀

2026年12月期の業績予想についてご説明します。今期は、主に輸出販売の拡販などに取り組むことで、売上高は前期比6.7パーセント増の211億円を見込んでいます。

また、在庫削減の取り組みが一段落したことで生産量が昨年より増加し、売上原価が改善する見通しです。さらに、昨年実施した価格改定が1年間を通して寄与することで、営業利益は前期比53.4パーセント増の18億円となる見込みです。

なお、今期の主要な取り組みとして徳山工場のリニューアルを予定しており、一部の老朽化した設備の解体・撤去を行います。その費用を特別損失として4億円計上しますが、当期純利益は前期比14.7パーセント増の8億円を見込んでいます。

2026年12月期業績予想➁

当社は2023年以来、中期経営計画で掲げた「原料転換」などの諸施策を進めてきました。この結果、近年の物価高による原材料価格などのコスト上昇にもかかわらず、利益とキャッシュ・フローの水準は大きく改善しています。

「原料転換」を実施する以前は、原料価格を下回る逆ざやの値段でしか販売できない重油や、利益の薄い汎用ワックスを大量生産していました。しかし、原料を転換し、生産プロセスを見直すことで、重油や汎用ワックスの生産量を減らし、高付加価値ワックスの生産比率を高める、いわゆるプロダクトミックスの改善を行いました。この結果、安定的な利益水準を確保できるようになりました。

また、中期計画ではワックス製品価格の見直しにも取り組み、原材料価格や物流費の上昇によるコスト増の一部をお客さまにご負担いただくようお願いしました。さらに、不採算ビジネスの価格是正や販売先の見直しを行い、利益水準の押し上げを達成しました。

当社としては、これらの中期経営計画に基づく構造改革の成果を今後とも安定的に享受するとともに、新たな施策を通じて利益やキャッシュ・フローのさらなる増加を目指していきます。

販売方針

2026年12月期の販売方針についてご説明します。

国内販売は、安価な海外品との競争の影響により、一部用途において販売数量が減少すると見込まれますが、高品質・高付加価値のワックス製品の販売を伸ばしていく方針です。また、前期に実施した価格改定の影響もあり、販売単価は上昇し、販売金額は前期並みと予想しています。

輸出販売は、北米および中国マーケットを中心に、高付加価値製品の拡販に加え、原価を抑えた製品の拡販も積極的に行います。その結果、平均販売単価は下がるものの、販売数量は前期より大幅に増加し、販売金額も増加する見込みです。

重油については、ワックスの生産数量の増加に伴い、副産物である重油の生産数量も増加するため、販売数量も前期より増加する見通しです。ただし、引き続き原料の選定や生産工程の工夫などにより、生産数量の最小化に努めていきます。

2026年12月期の主要な取り組み

2026年12月期の主要な取り組みについてです。今期も中期経営計画で掲げたとおり、当社の事業基盤を強化し、将来の成長につなげる施策を積極的に実施していきます。

売上構成における新規高付加価値ワックスの割合を上げるため、研究開発体制を拡充するとともに、外部機関との協業を通じて新規製品の開発スピードを加速させます。

植物由来のライスワックスについては、実用化に向けてサンプルワークを開始しました。また、加工性と環境性能に優れた水系ワックスエマルジョンも、さまざまな用途での拡販を進めていきます。

次に、2023年10月に借り入れた劣後ローン30億円のうち、元本15億円相当額を前期に期限前弁済しましたが、さらなる財務体質の健全化に向けて、残りの15億円についても今期中に完済を目指します。

さらに、基幹工場である徳山工場のリニューアル計画を、今期中にスタートさせる予定です。

配当について

最後に、配当についてご説明します。前期は、会社法に定められている財務諸表上の配当金の支払いに充てられる金額、いわゆる分配可能額を確保するに至らなかったため、無配を継続せざるを得ませんでした。誠に申し訳ございません。

今期は、業績予想を上回る利益の達成を目指し、配当を実施することを目標としていますが、現時点では未定としています。

当社は、事業環境の変化と将来の成長機会を踏まえ、本年半ばを目処に新たな中期経営計画を策定する予定です。新中期経営計画では、中長期的な事業戦略に加え、株主のみなさまへの還元方針についても改めてお示しする予定です。

引き続き、事業の持続的成長と資本効率の向上を両立し、株主のみなさまに選ばれる企業を目指してまいります。今後ともご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

以上で、2025年12月期決算の説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス

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