山岡和雅が2026年為替相場を大胆予測! <新春特別企画>

配信元:株探
投稿:2026/01/02 12:00

●2025年の為替市場、ドル全面安から円全面安へ

 2025年は第2次トランプ政権の誕生もあり、波乱の1年となった。2024年11月の米大統領選におけるトランプ氏の勝利を受け、公約に掲げられた関税強化や規制緩和、減税などの影響により米国内の物価が上昇するとの思惑が先行。2024年終盤にかけてドル高が進み、2025年もドル高圏でのスタートとなった。ドル円は1月10日に、1ドル=158円87銭という2025年の年間高値(12月23日時点)を記録している。

 しかし、1月の日銀金融政策決定会合での利上げ(0.25%から0.5%へ)に向けた円買いもあり、ドル円は高値から反転した。2月に入り、トランプ米大統領がカナダ・メキシコ・中国への追加関税を発表すると、世界経済の先行き不透明感からドルは全面安の流れとなった。さらに4月2日、「リベレーション・デー(解放の日)関税」と呼ばれる広範な関税パッケージが発表されたことで、ドル売りが加速。ドル円が年間安値となる139円89銭を付けた4月22日時点の通貨ペアの騰落率を見ると、年初来でドル円が11%のドル安・円高、ユーロドルが10.3%のユーロ高・ドル安、ポンドドルが6.5%のポンド高・ドル安となっており、ドルは主要通貨に対して大きく売られた。

 その後、夏にかけてはドル安に加え、円安が広がる展開となった。1月に利上げを行った日銀の追加利上げは当面先との見方が強まった一方、2024年後半に計1%の利下げを行った米連邦準備制度理事会(FRB)が2025年に入って政策金利を据え置いたことが、日米金利差を意識したドル買い・円売りを誘発した。ドル円は145円を中心とした推移を経て、8月1日には150円92銭まで上昇。150円台の維持には失敗したものの、10月初めまでは145~150円のレンジ取引が続いた。一方、対ドルでは他通貨の強さが目立ち、ユーロドルは9月に年間高値となる1.1919ドルを記録している。

 ユーロ円は、ユーロ高・ドル安とドル高・円安の両面から押し上げられた。2月28日の安値154円80銭から、9月には175円05銭と20円超も上昇。ポンド円や豪ドル円なども、春の安値から右肩上がりの推移となった。

 10月に入ると円安がさらに加速する。10月4日の自民党総裁選で下馬評を覆し、高市早苗氏が新総裁に選出され、その後首相に就任した。同氏の積極財政路線を背景に株高が進む一方、財政赤字拡大懸念などによる円売りが進行し、「高市トレード」と呼ばれる動きとなった。ドル円は11月20日に157円89銭まで上昇し、4月までの円高分をほぼ解消した。円が全面安となる中、ユーロ円は連日のように史上最高値を更新し、12月22日には184円92銭に到達。スイスフラン円も史上最高値を更新し、ポンド円は2008年以来の高値を付けるに至っている。

●2026年の注目材料、FRB金融政策と議長人事

 次に、2026年の相場展開に影響を与えるとみられる主要なポイントを整理してみよう。

 最大の注目材料は、FRBの金融政策となる。2025年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で示されたドットプロット(FOMCメンバーによる政策金利見通し)では、2026年末の政策金利見通しの中央値は3.25~3.50%となった。これは現状(3.50~3.75%)から年1回の利下げを示唆するものとなっている。しかし、短期金利市場などでの織り込みは年2回以上の利下げが主流であり、当局と市場の見通しには乖離が生じている。

 この乖離を埋める鍵となるのが、米国の雇用情勢である。12月16日に発表された11月の米雇用統計では失業率が4.6%と、9月の4.4%から悪化した(10月分は連邦政府機関閉鎖の影響で欠測)。米労働省(DOL)公表の6種の失業率のうち最も広義の失業率であるU6失業率も8.0%から8.7%へ大幅に悪化している。こうした労働市場の冷え込みが2026年も継続すれば、FRBは想定以上の利下げを迫られる可能性が高い。

 また、2026年5月に任期満了を迎えるパウエルFRB議長の後任人事も重要となる。トランプ大統領による指名が有力視されるケビン・ハセット米国家経済会議(NEC)委員長やケビン・ウォーシュ元FRB理事は利下げに前向きなハト派として知られており、6月以降の新体制下で利下げが加速するとの期待がある。

 米国の内政面では、予算問題の再燃が警戒されている。2026年1月30日で期限を迎えるつなぎ予算の行方が焦点となる。ACA(オバマケア)補助金を巡る共和党と民主党の対立は解消されておらず、再び政府機関が閉鎖に向かうとの警戒感が1月末に向けて強まることが見込まれる。

 年後半には、11月3日に米中間選挙が控える。現在は共和党が上下両院で多数派を握るが、現時点での世論調査では下院が接戦となっている。民主党が下院を奪還して「ねじれ」が生じれば、トランプ政策に対する抑止力として機能し、相場の転換点となる可能性がある。

 日本国内では、2025年12月に追加利上げ(0.75%へ)を行った日銀の動向が注目される。植田総裁は12月の会見で追加利上げの時期に言及しなかったが、市場では2026年中のさらなる利上げを100%織り込む動きがある。欧州中央銀行(ECB)が2026年中の据え置き、イングランド銀行(BOE)が1回もしくは2回の利下げ、豪準備銀行(RBA)が1回もしくは2回の利上げが見込まれるなど、各国の政策が「利下げ一色」だった2025年とは異なる複雑な展開が見込まれる。

●2026年の相場見通し、ドル円は前年と逆カーブに

 2025年の振り返りと2026年の材料を踏まえつつ、2026年の相場展望を行っていく。

 ドル円については「高市トレード」による円売りの持続性が焦点となる。注目されるのは、2024年7月3日に付けた1986年以来の高値である161円95銭である。この水準に接近すれば、日本の通貨当局によるドル売り円買い介入が強く意識される。ただ、日本の財政赤字拡大懸念や日米金利差を背景とした円売り圧力が、この壁を突破させる可能性は十分にある。

 しかし、2026年を通じて円安が進行し続けるとは考えにくい。年後半にかけては、新議長下でのFRBによる利下げ姿勢の強まりや、中間選挙を前にドル高是正を求める米政権の政治圧力により、ドル安・円高への揺り戻しが起こると予想される。2026年前半はドル高・円安、後半はドル安・円高という、2025年とは逆のカーブを描く可能性が高い。

 ドル高・円安からドル安・円高に反転する時期の予想は難しいが、米雇用市場の悪化が顕著になっていくと、比較的早い段階でのドル安転換、米景気が底堅さを見せると、年半ば以降のドル安転換が見込まれる。

 ユーロ円やポンド円などのクロス円も、円主導の展開を予想する。2025年後半から続く円安の流れを引き継ぎつつ、ドル円の反転とともに調整局面を迎えると予想する。

 最後に、2025年10月に12万6000ドル台の史上最高値を付けたビットコインについて触れてみたい。現在は規制法案の審議延期などを受けて8万ドル台まで調整しているが、2026年初頭もこの重い足取りが続くだろう。10万~10万5000ドルの上値抵抗水準を抜けない限り、一時的に5万ドル台まで押し込まれるリスクがあるとみている。もっとも、長期的には強気派が多く、2027年の25万ドル到達を予測する声も根強い。2026年はオプション市場でも強弱感が拮抗しており、不安定な動きを伴いながらも、下値では次なる上昇サイクルを見据えた買いが入る展開を予想する。

2025年12月23日 記


株探ニュース
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