米CPI受けドル安 ドル円は一時155.30円近辺に下落=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2025/12/19 06:45
米CPI受けドル安 ドル円は一時155.30円近辺に下落=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、NY時間に入ってドル売りが優勢となり、ドル円は一時155.30円近辺に下落。この日発表の米消費者物価指数(CPI)にドル安で反応。総合指数で前年比2.7%、コア指数で2.6%と予想外の伸び鈍化となった。

 追加利下げ期待を高める数字となったものの、数字の割には動きは限定的な印象もあった。今回は政府機関閉鎖の影響でデータの信頼性が通常より低い可能性が事前に指摘されていた。10月分のデータの多くが収集できなかったうえ、11月分も閉鎖の影響で収集が遅れた。そのため今回は前月比はない。月次の変化が公表されていないため、何がこの数字をもたらしたのか判断しにくい面があるようだ。

 一方、明日は日銀決定会合の結果が発表され、利上げが確実視されている。市場は十分に織り込んでおり、来年以以降のヒントを待っている。利上げの方向性は変わらないと見られるが、市場はそれによって円高に流れが変わるとまでは見ていない。

 実質金利から考えれば、円安の流れが止まるにはまだ利上げが必要とエコノミストは述べている。ただ、想定される中立金利から、回数についてはあと1回か2回と見ているようだ。短期金融市場では来年7月までに1回の利上げの可能性を織り込んでいる。

 ユーロドルは1.17ドル台前半。この日発表の米消費者物価指数(CPI)が予想外に鈍化したことで、ドル安の反応が見られ、ユーロドルは1.1760ドル近辺まで上昇した。ただ、上値にも慎重になっているようで、買い一巡後は伸び悩む展開。一方、ユーロ円は182円台半ばに下落。

 この日はECB理事会の結果が公表され、予想通りに政策金利を据え置いた。ラガルド総裁は会見で「金利に関する全ての選択肢を残すことで一致」と述べていたが、ECB理事の間では、最新の成長とインフレ見通しを踏まえると、利下げサイクルは恐らく終了との認識が広がっているとの報道が伝わっている。

 新たなショックが起きない限り、中銀預金金利は2.00%の水準で維持できる一方、利上げについての議論は時期尚早と認識しているとも伝えていた。エコノミストは、今後2年間は据え置きが続くとの予想しており、市場も当面は上下いずれの方向にも動く可能性は低いとの見方を織り込んでいる。

 ポンドドルはNY時間に入って上に往って来いの展開が見られた。米CPIを受けてドル安の反応が見られ、ポンドドルは1.34ドル台半ばまで一時上昇。ただ、その動きは維持できずに1.33ドル台に伸び悩む展開となった。一方、ポンド円はNY時間に入って209円台に一時上昇し、2008年以来の高値を更新したものの、208円台前半に伸び悩んでいる。ただ、21日線の上での上昇トレンドは続いている状況。

 本日は英中銀が金融政策委員会(MPC)の結果を公表し、政策金利は予想通りに0.25%引き下げ3.75%とした。ポンドは買いの反応を見せていたが、委員の投票行動は5対4と僅差での決定となったほか、26年にかけて追加利下げの余地があるとの見方を示したものの、今後の利下げ判断は微妙なバランスになると警告しており、ベイリー総裁は「利下げを行うたびに、どこまで進むのかの判断はますます難しくなる」と述べていた。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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