8031  東証プライム

三井物産

10392
お気に入り
レポート銘柄

会員登録(無料)が必要です

『お気に入り登録、レポート銘柄登録』の他にも、『銘柄の予想投稿』や『ブログ投稿』など、さまざまな機能が使えます。

ログイン

株価(12/10)

年高値
4,333.0
+25.0(+0.58%)

三井物産のニュース

三井物産のニュース一覧

三井物産、2030年に向けて収益力を大きくレベルチェンジ ROEのさらなる向上も視野に

投稿:2025/12/10 19:00

各パートの記事は、以下のリンクからご覧いただけます。
企業価値の持続的な向上
ポートフォリオ良質化の進捗
化学品事業戦略

3つの取組みで基礎収益力を強化

堀健一氏(以下、堀):みなさま、こんばんは。三井物産株式会社代表取締役社長の堀です。

本日はお忙しい中、三井物産インベスターデイ2025にご参加いただき、誠にありがとうございます。最後に私から、当社がどのように持続的な成長を実現し、2030年に向けて飛躍するのか、その全体像をお示しします。

当社は中期経営計画(中経)2026を通じて、ポートフォリオの質を高め、基礎収益力を強化してきました。私からは3つの重点取組みをご説明します。

第一に、当社の強みである高機能型トレーディングと事業投資による価値実現の好循環を通じた相乗的価値の創出です。これは先ほど古谷より化学品を例にご説明しましたが、当社はグローバルベースの多様なトレーディング現場から得られるネットワークや知見を活かし、優良な事業投資につなげています。さらに、これを周辺事業に展(ひろ)げることで、トレーディングと事業投資の双方が価値を高め合い、持続的に相乗的な利益を生み出しています。

第二に、ミドルゲーム推進です。既存事業の強化や課題案件のターンアラウンドといった事業の中盤戦こそが、当社が強みを存分に発揮できるフェーズであり、当社ではこれを「ミドルゲーム」と呼んでいます。総合的見地から多様な判断が求められる局面において、グローバル全社員の創意工夫により、オーガニックグロースの実現に取組んでいます。

第三に、成長投資を通じた新たな収益源の創出、そして投資効率改善を意識した資産入れ替えを継続して推進しています。

これらの3つの取組みを相互に連動させ、戦略的な事業規模拡大と共に、ポートフォリオの質を高めており、基礎収益力は着実に向上しています。

基礎収益力は計画通りに拡大

現中経では、既存事業の強化、効率化・ターンアラウンド、新規事業の立ち上げを通じて、合計1,700億円の基礎収益力拡大を達成できる見込みです。

新規投資案件による収益貢献とオーガニックグロース

こちらは、現中経期間中に収益貢献が見込まれる新規投資案件を、実際に貢献が始まる年度ごとに示しています。

これらの新規投資案件により、2026年3月期において為替を足元の実勢レートに換算しますと、合計600億円の収益貢献を見込んでいます。今後既存事業としてしっかりと育て・展(ひろ)げることで、収益基盤をさらに強化していきます。

これらの案件の収益力は2031年3月期には1,060億円まで伸長し、新規立ち上げ案件のオーガニックグロースとランプアップによりROICは5.2パーセントから8.8パーセントへ向上することが期待できます。

投資決定済み大型案件がキャッシュ創出開始

ここでは2027年3月期以降にキャッシュ貢献開始を見込む案件を示しています。今後中長期に渡って、投資決定済みの、競争力の高い厳選された新規の大型案件が、これから多数立ち上がって来ることも当社の強みで、キャッシュ・イン・フローの持続的な拡大を期待していただきたいと思います。

これらの案件を加えた将来のキャッシュ貢献額は、2031年3月期に約3,000億円、2035年3月期に約4,500億円を見込みます。

次期中経に向けて

次期中経の話を少ししたいと思います。

現中経期間中、3つの攻め筋を通じて、当社の持続的成長による収益のレベルチェンジへの道筋がはっきり見えたと実感しています。次期中経は通期決算公表時期にあわせて発表する予定で、現在議論を重ねているところです。将来のあり姿と解像度の高い中長期成長ストーリーをお示しするつもりです。

本日は、今、私が考えていることを少しだけお話したいと思います。

3つの攻め筋:確信から拡大へ

まず申し上げたいのは、現中経を通じて、当初掲げた3つの攻め筋の有効性を確信したということです。次期中経でも、産業軸、地域軸、時間軸の分散を意識しながら、より進化させたバージョン2.0のような3つの攻め筋に基づき、事業を拡大していきます。

成長ドライバーによりキャッシュ創出基盤をレベルチェンジ

左側のグラフにお示ししたとおり、当社の2022年3月期以降の基礎営業キャッシュ・フロー水準は、それまでの約2倍にレベルチェンジしました。さらなるレベルチェンジに向けて多様な成長ドライバーを通じ、今後もバランス良く成長を実現します。

これまでの取組みを通じて、当社経営戦略上重要な商品・サービス、市場、そしてそこで当社に求められる機能がはっきり見えてきています。今後はそれぞれを徹底的に強化・追求していくことで、キャッシュ創出力を飛躍的に押し上げていきたいと思います。

Industrial Business Solutionsでは、引き続き鉄鉱石とモビリティ、そしてデジタルを含むインフラの取組みを中心に強化します。良質な鉄鉱石は今後も低炭素鋼材生産に不可欠であり、豪州Rhodes Ridge鉄鉱石事業の生産開始により、当社の持分生産量は大きく伸長します。

Global Energy Transitionにおいては、新興国需要に加え、先進国でのデータセンター向け電力需要の拡大により、天然ガス・LNGの重要性が再認識されています。当社はグローバルに分散の効いた競争力のある権益、埋蔵量をしっかり押さえており、関連ロジスティクスを含めて需要家のみなさまへの安定した供給体制を拡充していきます。また、低炭素アンモニアを含むクリーンモレキュール、クリーンな化学品も世の中の多様なニーズに合わせて責任ある供給を実現していきます。

Wellness Ecosystem Creationでは、ヘルスケアとタンパク質、及び周辺事業に注力します。ヘルスケアではIHHを核として、蓄積された知見やデータを活用した、付加価値の高い周辺事業を展開していきます。タンパク質事業においてもグローバルベースで鶏肉やエビ、サーモン等の良質なたんぱく質の供給力を拡大します。

持続的成長 レベルチェンジする収益基盤

当社は、不確実性の高い事業環境下においても、進化する3つの攻め筋と成長ドライバーに沿って、レジリエンスと持続的な成長の2つをグローバルベースで実現していきます。

現中経期間までに築いた強固な収益基盤、これには投資決定済みの新規案件も含みますが、これをベースに、既存事業強化や効率化・ターンアラウンドといったミドルゲームを通じたオーガニックグロースを継続的に実現します。

さらに、次期中経以降の新規投資によってもたらされる収益貢献を加え、当社の収益力は2030年に向けて大きくレベルチェンジしていきます。これにより、ROEのさらなる向上も視野に入ります。

キャピタル・アロケーション

現中経期間においては、強固なキャッシュ創出基盤に加え、時機をとらえた資産リサイクルの推進により、当初計画から大きくキャッシュ・インを伸ばしました。これによりマネジメント・アロケーションも拡大し、バランスよくキャッシュ配分した結果、投資は当初計画の1.7兆円から3.2兆円に、株主還元は当初計画の2倍になりました。

さらに、大型で優良な投資機会においてはバランスシートも活用し、機動的かつ積極的に成長投資を実行し、単独年度として、2026年3月期は過去最大の投資額となる見込みです。

次期中経では、投資家のみなさまとのエンゲージメントにおいて、キャピタル・アロケーションにさらに重点を置いていきます。豊富な投資パイプラインから優良投資を厳選し、経営環境を睨みながら、バランスシートの在り方を良く検証して、マネジメント・アロケーションを一層機動的に設定することを現段階では考えています。

不確実性の高い経営環境においては、経営の選択肢を確保しながら舵取りを進めていきます。同時に、戦略的重要性の極めて高い投資機会の準備が整った際には、機を逃さずに実現できるよう、ダイナミックで動態的なキャピタル・アロケーションを実行していく所存です。

自己株式取得・消却の効果

当社は業界他社に先駆けて、株主還元を意図した自己株式取得並びにその消却を2014年3月期より実行してきました。これまで合計1兆2,000億円相当を超える自己株式を取得し、2013年3月期末時点の発行済株式数の約21パーセント相当を消却することにより、1株あたりの価値を高めてきました。

今期も2,000億円相当の自己株式取得を予定しており、今後も1株あたりの価値向上を強く意識して取組んでいきます。

1株あたり基礎営業キャッシュ・フローと配当額の伸長

当社の基礎営業キャッシュ・フローを1株あたりに割り返した推移がこちらの折れ線グラフになります。基礎営業キャッシュ・フロー総額の伸長と、継続的な自己株式の消却により、1株あたり基礎営業キャッシュ・フローの2013年3月期以降の年平均成長率は7パーセントとなります。

また、1株あたりの配当額は同じく14パーセントと大きく伸びています。今後も、成長ドライバーを中心としたキャッシュ創出基盤の持続的な成長と機動的な自己株式の取得・消却を通じて、1株あたりの基礎営業キャッシュ・フローを飛躍的に向上させるとともに、累進配当を継続していきます。

現在次期中経公表に向けて当社ならではの競争力を再定義し、将来のあり姿、並びに、そこに至るための攻め筋と成長ドライバーに基づいた具体的な戦略を議論しています。次期中経の発表時には、当社収益基盤のレベルチェンジへの道筋に関し、より詳しくご説明します。ぜひ当社の今後の飛躍的な成長にご期待下さい。

以上で私からの説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:マルチプル拡大への取組みについて

質問者:CFOプレゼンテーションのスライド6、7にて、セグメントごとのROICを示していただきました。マルチプルやマージンを拡大させるための取組みとして、どのような議論がなされているかお聞かせください。

:まず、マルチプル拡大には当社の独自のビジネスモデルをしっかりお見せすることが大事だと思っています。例えば金属資源、エネルギーの案件では、商品市況のアップサイドを狙う部分と、商品市況とは関係なく収益が得られるインフラ的な要素を同時に組込んでいます。そうすることで、市況変動リスクをマネージしながらアップサイドを残すことができます。このような我々のビジネスモデルに対する理解が投資家のみなさまに浸透すれば、ご評価をいただけると思います。

加えて、商社の特徴である業際の取組みです。本日、化学品事業戦略のプレゼンテーションでご紹介しましたが、低炭素アンモニア案件は、複数部門が協業してアンモニアの本質を理解しているところから入っています。このような案件の収益性と当社ならではの組立て方もマルチプルを上げると思います。

また、生活産業のウェルネス関連では、一例として最近IHHの時価総額が大きく拡大しており、当社投資案件のバリュエーションは着実に上がっています。IHHは戦略的に保有を継続していきますが、データに基づいて有効性の高いAIとデジタルを掛け合わせる機会が出てきており、これを結びつけると製薬産業や保険事業とのつながりが見えてきます。これらはマルチプルが非常に高い性格の領域であり、今後しっかりと絵姿をお見せしていきます。

次期中経にて具体案を戦略としてご提示したいと考えており、マルチプルを向上させるようなあり姿をお見せできると思っています。

質疑応答:Rhodes Ridgeの収益貢献のタイミングについて

質問者:スライド6では投資決定済み案件の収益貢献がこれから増え、COCFは2031年3月期で3,000億円、2035年3月期で4,500億円となっています。この差は主にIndustrial Business Solutions(IBS)のRhodes Ridgeの収益力に見えます。本スライドにおけるRhodes Ridge案件の収益貢献開始時期の前提を教えてください。今回開示いただいたことに鑑み、Rhodes Ridgeの収益性には自信を持っておられるということでしょうか?

:Rhodes Ridgeの収益貢献開始のタイミングについては、当初からの想定を資料に反映させており、前倒しによるアップサイドは反映していません。前倒しの可能性は一定程度見出せており、ジョイントベンチャーパートナーとよく連携しながら進めていきます。収益性については、一定の蓋然性を持って、当社の見込みを反映させています。

質問者:これらは投資決定済みなので、次の中経ではオーガニックグロースの大部分をこの増益が占めるようなかたちになりますか?

:ご理解のとおりです。これらは既存事業として取組んでいきます。次の中経ではダイナミックに新規投資を計画すると思います。その貢献は次期中経期間中、あるいは2031年度、2035年度に出てきますが、スライド6には含まれていません。

質疑応答:キャピタル・アロケーションの詳細について

質問者:キャピタル・アロケーションを機動的に行われるということでした。マネジメント・アロケーションを機動的に運用し、これまでよりもさらに動態的、ダイナミックという表現をされたのですが、具体的には、バランスシートの活用も含めて、このマネジメント・アロケーションの枠を増やされるイメージでしょうか?

:来年の次期中経発表時にはバランスシートの検証結果を踏まえた戦略をお示しする予定です。中経2023からマネジメント・アロケーションというコンセプトを取り入れました。これは、2つの側面があり、1つはバランスシートを意識した発想が含まれており、もう1つはパイプライン案件を良く精査した上で、投資もしくは株主還元への配分を判断するという側面があります。

今年度を以って現中経が完了するため、手元にあるマネジメント・アロケーションを、投資案件と自己株式取得に振り分けています。現在マネジメント・アロケーションがありませんが、今はないだけで、マネジメント・アロケーションをどの程度確保し、パイプライン案件と株主還元の配分を適切に考えることは常に継続します。これが一番申し上げたかったことです。

また、現在集計している投資案件には、次期中経に向けて骨太のものがあります。どの程度の投資もしくは株主還元を行い、ROE目標との連動で資本効率化をどのように進めるかなどを総合的に考えていく上で、マネジメント・アロケーションを機動的に設定することによって、ステークホルダーのみなさまとより当社の動態的な歩みをお話しできると考えています。

そのためにも、マネジメント・アロケーションをもう少し大胆にお見せすることや、バランスシートでどの程度レバレッジを考えたら良いかということを含めて、ステークホルダーのみなさまとお話していきたいと思います。

当社のキャピタル・アロケーションのコミュニケーションの仕方としては、現中経でおなじみになったマネジメント・アロケーションの発想を、もう少し踏み込んでいくことを考えています。

質疑応答:ROE向上に向けて注力する点について

質問者:CFOプレゼンテーションで、セグメント別のROICは上がったことが示された一方で、会社のROEで見るとコロナ禍前とほぼ同水準の10パーセント台で着地しそうです。次期中経でのROE改善に向けて、どこに力点を置くお考えなのか教えてください。

:ROEは現中経で平均12パーセントという数字をご提示し、その達成を目指して取組んでいますが、次期中経においても維持・拡大していくために、戦略を再確認している状況です。

ROEの現行水準の維持・拡大のためには、リターンを上げることが一丁目一番地だと思っています。現中経ではパイプラインから厳選した優良投資が3.2兆円あり、当社の特徴として、早期に収益貢献するものもあれば、Rhodes Ridgeのように2030年度あたりから効いてくるものと、時間軸は短期、中期、長期と分かれています。時間軸をずらさずにしっかりと成果を実現していくことが、一番大事なことだと思います。

また、ミドルゲームのさらなる推進が、リターン向上のために最も大事な道筋と思っています。加えて、資産リサイクルは毎年しっかり取組んでいきます。今までのトラックレコードはご納得いただいていると思いますが、今後さらに拍車をかけて、マーケットの状況を見ながら、経済性を担保するために賢くディールをしたいと思います。このような資産リサイクルも加えて、ROE改善につながる高いリターンを追求していきたいと思います。

そのためには、保有資産の価値を上げることが一番良いと考えています。保有資産の継続保有か売却かといった意思決定を経済的に高いレベルで行えるよう、既存ポートフォリオに対する付加価値実現を通じてROEを維持・向上させたいと思います。

同時に、収益が増えれば我々の選択肢が増えるため、成長投資のパイプラインとの兼ね合いですが、資本効率を上げる自己株式取得を機動的に継続して実行する余地が増えてくると思います。

適正なレバレッジも世界の経済環境を考慮しながら考え、ROEを最優先KPIとして、次の中経も捉えていきたいと思っています。

質疑応答:D/Eレシオに対する考え方について

質問者:業界他社もバランスシートのあり方や適正なレバレッジなどの方針を示しています。0.6倍といった上限の設定は戦略の幅を狭めていると感じますが、現時点でのお考えをお聞かせください。

:D/Eレシオを一定範囲内に収めることは、それほど強く思っていません。当社として格付けが安定しているということを重要視していますが、グローバルのマクロ経済環境にも依拠するため、経済環境を見ながら戦略を絶えず考えています。

保有ポートフォリオのレジリエンスを常に見ていますので、状況に応じてレバレッジを考え直すことはいくらでもあり得るため、総合的に判断したいと思います。選択肢をなるべく幅広く持っておくことが、今の経営環境における最大の良薬なので、そこを縛ることは基本的には考えていません。

また、歴史的に商社のD/Eレシオはかなり幅が広いので、もう少しフレキシブルな対応はあり得ると思います。ただ同時に一定の注意は必要なため、我々の持てるグローバルインテリジェンスをよく駆使しながら考えていきたいと思います。中経は会社として深く検証する重要な機会でもあり、現在検証を進めています。

三井物産の取引履歴を振り返りませんか?

三井物産の株を取引したことがありますか?みんかぶアセットプランナーに取引口座を連携すると売買履歴をチャート上にプロットし、自分の取引を視覚的に確認することができます。

アセットプランナーの取引履歴機能とは
アセプラ(アセットプランナー)

アセプラを使ってみる

※アセプラを初めてご利用の場合は会員登録からお手続き下さい。

三井物産の株価を予想してみませんか?

株価予想を投稿する