為替相場まとめ3月2日から3月6日の週

著者:MINKABU PRESS
投稿:2026/03/07 08:00
 2日からの週は、中東情勢の急激な悪化を軸に、為替・株式・原油が一体で揺さぶられる「地政学ショック相場」となった。米国・イスラエルによるイラン攻撃でハメネイ師死亡が伝わると、市場は一気にリスク回避へ傾き、ドル円は155.85付近から157円台後半へと上昇し、「有事のドル買い」と円買いが交錯する不安定な値動きが続いた。ユーロドルは1.17台から1.15台へ、ポンドドルも1.34台から1.32台へと大台割れが進み、主要通貨は総じてドル買いとなった。原油相場は湾岸地域への攻撃やホルムズ海峡封鎖懸念を背景に75ドル台から82ドル台へ急騰し、インフレ再燃懸念が米金利上昇を誘発、これがさらにドル高を後押しした。株式市場もパニック的に急続落したあと、急反発をみせるなど極度にボラタイルな動きを示した。週後半にはNYTの「停戦協議打診」報道で一時的にドル売り・株高が進んだが、イラン側が否定し、根本的な緊張緩和には至らなかった。クウェート沖タンカー爆発や中東諸国へのミサイル攻撃が相次ぎ、情勢はむしろ混迷を深め、ドル円は再び157円台後半へ戻した。ユーロドルは1.15台、ポンドドルは1.32台と上値を押さえられた。欧州のエネルギー依存リスクが改めて意識される面もみられた。総じて今週は、地政学リスクが市場の主導権を握り、為替・株式・原油が連動して振れる「有事相場」が週を通じて継続した一週間だった。

(2日)
 東京市場では、米国・イスラエルによるイラン攻撃でハメネイ師が死亡したことを受け、為替市場はリスク回避の円買いと有事のドル買いが交錯する不安定な展開となった。ドル円は朝方155.85付近を付けた後、有事のドル買いで午前中に156.70付近まで上昇。イラン臨時政府が米国との対話を打診との報道でいったんドル買いが後退し156.16付近まで押し戻されたが、ラリジャニ氏が米国との交渉を拒否する姿勢を示したことや戦火拡大の動きから再びドル買いが強まり、157.00付近に乗せる動きとなった。ユーロドルは1.1750付近へ下落後に1.1796付近まで買い戻されたが再度1.1730付近へ。ポンドドルも1.3400付近から1.3450付近を回復したものの午後のドル買い再燃で1.3370付近まで下落した。

 ロンドン市場では、ドル買いが一服する場面もあったが、欧州株・米株先物が大幅安、原油先物が高止まりする などリスク警戒の環境に変化はなく、市場参加者は慎重な姿勢を維持した。ドル円は東京朝方の155.85付近を安値に157.25付近まで高値を伸ばしたが、ロンドン勢の本格参加後は157.00割れへと小幅調整。ユーロドルはロンドン時間に1.1698付近まで安値を更新したが、その後1.1740付近まで買い戻された。ポンドドルはロンドン序盤に1.3314付近まで急落後に1.34台を回復。散発的に中東情勢の情報が流れる中、NY時間のトランプ大統領発言が注目材料とされた。欧州社債発行が見送られるなど金融市場全体での慎重姿勢が目立つ展開となった。

 NY市場では、有事のドル高が一段と強まり、ドル円は一時157円台半ばまで上昇した。原油相場は一時75ドル台に急騰後に伸び悩んだが、イランのサウジ製油所へのドローン攻撃や米戦闘機撃墜の主張など情勢は混迷を深めた。短期金融市場でFRBの年内利下げ観測が後退したこともドルを後押しした。ユーロドルは200日線付近の1.16台に下落、ファンド勢の売りが活発化。下値目標として1.15付近ないし1.14付近が意識され、ストップは1.18付近と設定するストラテジスト見解が示された。ポンドドルは一時1.33台前半まで下落後に1.34台を回復したが、100日線・200日線を下回る展開で1月の上昇を完全に帳消しにした。技術的には158.00突破で160.00が視野に入るとの指摘も出た。

(3日)
 東京市場では、株安・原油高などリスク警戒の動きが継続。日経平均が一時1900円超安となるなどアジア株は全面安の展開となった。為替市場では有事のドル買いが優勢となる一方、介入警戒感が上値を抑える場面もあった。片山財務相が「金融市場を極めて高い緊張感をもって注視」「日米の覚書には介入も含まれている」と発言。ドル円は157円台での推移となった。ユーロドルは1.1707付近を付けるなど一時下げ渋ったが、午後のドル買い進行で昨日安値を割り込む1.1662付近まで下落。ポンドドルも午後に1.3354付近まで値を下げた。ユーロ円は184.33付近から183.40付近へ、ポンド円は211.36付近を付けた後210.11付近まで下落するなど、クロス円も不安定な動きとなった。

 ロンドン市場では、有事のドル買いが一段と強まった。米国・イスラエルとイランの双方が攻撃の手を緩めず、ホルムズ海峡封鎖の動きも加わり原油供給への警戒から原油先物が高騰。スタグフレーション懸念が台頭し、欧州株のDAXが一時4%超安、米株先物も全面安となった。ユーロドルは1.15台、ポンドドルは1.32台へと大台を連続で下抜け。ドル円は介入警戒感から157円台前半から半ばで揉み合いが続いたが、足元では157円台後半へと買われ158.00付近に迫った。ユーロ圏CPI速報値が予想を上回ったもののユーロ買い反応は皆無。ロンドン時間には金も売られ換金売りが顕在化した。リーブス英財務相による春季財政報告の発表が予定されポンドは軟調推移となった。

 NY市場でも、リスク回避から原油高・株安・利回り上昇の中でドル高が継続した。トランプ大統領が「必要なことは何でもする」と表明し戦闘長期化懸念が強まった。原油相場は一時77ドル台まで急騰し、インフレ再燃への警戒感が広がる中、短期金融市場では年内2回の利下げ期待すら織り込めない状況となった。ドル円は一時157円台後半に上昇し158.00付近に接近したが、本日は試しきれず上値を抑えられた。ユーロドルは1.1530付近まで急落し200日線を約1年ぶりに下抜け。機関投資家のユーロロング縮小が加速した。ポンドドルは1.32台半ばまで下落し下値警戒感が高まる一方、リーブス英財務相の春季財政報告では国債発行額が3年ぶり低水準に引き下げられ財政改善が示された。

(4日)
 東京市場では、ドル円が神経質に振幅。トランプ大統領が「事実上無制限」の兵器供給で戦争を「永遠に」戦う能力があると示したことでアジア株式市場が軒並み大幅安となり、リスク警戒の動きが継続した。ドル円は157円台後半での動きが中心。157.97付近を試す勢いは見られず、下がると買いが入る展開が続いた。午後に日経平均が2600円超安から値を戻し、韓国株も下げ幅を縮小する中でいったんドル買いが収まり157.18付近を付けたが、ドル売りは続かなかった。植田日銀総裁が「円安時の国内価格転嫁率が上昇」と言及したほか、片山財務相が「海外当局とも緊密に対応」と警戒姿勢を示したが市場の反応はともに限定的だった。ユーロドルは1.1575付近を付けた後1.1600付近を挟んだ推移に落ち着いた。

 ロンドン市場では連日のドル買い後のポジション調整が入り、ドル売りが優勢となった。ドル円は157円台で上値が重く推移していたが、NYタイムズが「イランの情報機関員が戦争終結の条件協議を米国に提案」と報じたことがドル売りの引き金となり、156.80付近まで下落した。この報道を受けて欧州株が上げ幅を拡大し、米株先物もプラスに転じた。NY原油先物は76ドル台から75ドル台へと反落。ユーロドルはNYT報道後に1.1647付近まで高値を更新し、ポンドドルも1.34付近に買い戻された。ただイランは報道を否定しており、実際の戦闘は継続中。今後もこの手の報道で相場が神経質に反応する場面が多くなるとの見方が広まった。

 NY市場ではイラン情勢絡みのドル高が一服し、ドル円は一時156円台まで下落した。イラン情報省工作員がCIAに間接接触し戦争終結の条件協議を提案したとの報道や、ベッセント米財務長官によるペルシャ湾石油輸送支援策の示唆が雰囲気を和らげた。ただイラン側は報道を否定しており情勢の本質的解決には程遠い。原油相場は一時73ドル台まで下落した。ユーロドルは1.1655付近まで買い戻されたが200日線の下での推移に変化はなく、ユーロ円も182.40付近まで下落し21日線の下での推移が続いた。ポンドドルは1.33台後半まで買い戻されたが100日線の下での推移が続き下値警戒感は消えていない。市場は初期の動乱を経て次の展開待ちのムードに入った様相を呈した。

(5日)
 東京市場では、ドル円相場が上下動。前日の海外市場でのダウ反発を受け、中東情勢への過度な警戒感後退から有事のドル買いが緩み、朝方157.10付近から昼前に156.46付近までドル安・円高が進んだ。日経平均が一時2300円超の上昇を見せるなど世界的にリスク警戒後退の動きが広がった。しかし昼前後から再びドル高円安に転換。クウェート沖でタンカーが大規模爆発との報道など中東情勢悪化の長期化懸念が改めて台頭し、ドル円は157.25付近まで上値を伸ばした。ユーロドルは朝の1.1647付近から1.1588付近まで下落。ポンドドルは朝の1.3387付近から午後に1.3306付近まで下落した。ユーロ円は182.17付近まで下落し昨日の下値支持水準を割り込むと売りが加速した。


 ロンドン市場では、中東有事が継続する中でもパニック的な売りは一巡し、市場は比較的落ち着いた動きを見せた。欧州株が堅調な足取りとなり、自律反発の様相ながらリスク警戒感は一定程度後退した。ドル円は東京市場での下落から戻し157円台前半で推移。ユーロドルは1.16台割れからやや反発も前日NY終値付近で重さが残り1.16付近での推移となった。ポンドドルは1.33台割れを回避し1.33台後半まで買い戻された。デギンドスECB副総裁は有事が短期終結を基本シナリオとしつつも、「紛争長期化で期待インフレが変化すればECBは政策スタンスを変更すべき」と言及し、インフレ再燃リスクに警鐘を鳴らした。この後のNY市場では米新規失業保険申請件数の発表が注目された。


 NY市場では中東情勢の混迷継続を受けて再びドル高が強まった。イランがカタール・クウェート・UAE・バーレーンなど米軍基地のある中東諸国にミサイル・ドローン攻撃を実施し沈静化の気配は依然なく、原油相場が一時82ドル台まで急騰した。米国債利回りも連れ高となりドルへの逃避買いが継続。ドル円は一時157円台後半まで上昇し、強い抵抗水準として意識される158.00付近を再び窺う展開となった。ユーロドルは一時1.15台に下落し200日線を下放れる展開となった。エネルギー輸入依存度の高い欧州の脆弱性が改めて意識され、1.10?1.12付近への下落可能性も指摘された。ポンドドルも1.32台に一時下落し、英企業の賃金上昇率予想が4年ぶり低水準となったが、エネルギー高騰によるインフレ圧力がその効果を打ち消す可能性が高いとされた。

(6日)
 東京市場では、午後に入って円売りが優勢になった。ドル円は午前中は目立った材料なく157.39-157.62円の狭いレンジで様子見が続いた。午後は日経平均が安値から1100円超の急反発となったことでリスク回避が後退し、円売りが優勢に。片山財務相の「再びデフレに戻る見込みがないとまで言えない」との発言も円売りを誘い、ドル円は157.90円と前日高値を更新した。158.00円手前の売りが上値を抑えるも、堅調地合いが続いている。ユーロドルは中東情勢をにらみ週末越えのポジション調整から1.1603-1.1621ドルで膠着。ユーロ円は円売り・ドル円上昇に連れ183.25円まで上昇した。ポンドドルは1.3340-1.3373ドルで様子見、ポンド円は株高を受けた円売りで210.94円まで上昇した。

 ロンドン市場はドル買いが優勢。中東有事の長期化懸念から、WTI原油先物は84ドル台へ上昇した。エネルギー供給不安を背景にインフレ再燃への警戒が強まり、欧州金利が急騰している。コストプッシュ型インフレを懸念してドイツ2年債利回りは前日比7bp上昇。短期金融市場ではECBが7月に利上げする確率を6割程度まで織り込み、年内の追加利上げもほぼ織り込まれた。本来、ECBのタカ派観測はユーロ買い材料だが、現在は地政学リスクと世界的なインフレ懸念が重なり、有事のドル買いが勝る複雑な局面にある。ただ、米雇用統計と小売売上高の発表を控え、ドル高の調整も意識されている。ユーロドルは1.15台後半、ポンドドルは1.33台前半へ軟化し、ドル円は再び157円台後半に上昇。欧州株は堅調な開始後に上げ幅を削り、ユーロ円は182円台後半、ポンド円は210円台前半で上値が重い。

 NY市場は、後半に戻したもののドル高の流れが続き、ドル円も一時158円台に上昇。しかし、158円台を維持できずに伸び悩んでいる。158円は意識される水準となっているが、まだ上値抵抗として機能している模様。中東情勢は出口が見えず依然混迷しており、原油相場も一時92ドル台まで急騰。一方、この日の米雇用統計が予想外の減少となったこともあり、ドルは上下動したが、結局160円に向かう展開にはならなかった。

このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。

配信元: みんかぶ(FX/為替)

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