サンフロ不動産 Research Memo(7):2026年3月期は順調な進捗も、上振れより計画どおりの着地を優先

配信元:フィスコ
投稿:2026/03/06 12:07
*12:07JST サンフロ不動産 Research Memo(7):2026年3月期は順調な進捗も、上振れより計画どおりの着地を優先 ■サンフロンティア不動産<8934>の今後の見通し

1. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績予想は、売上高117,000百万円(前期比13.4%増)、営業利益23,840百万円(同12.0%増)、経常利益22,500百万円(同10.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益15,500百万円(同9.4%増)としている。2026年3月期は、長期ビジョン2035の道筋を示す中期経営計画2028の初年度にあたり、戦略的な重要性を持つ年度である。同社グループは、引き続き事業及び人財への積極的な投資姿勢を維持し、多角化と生産性の向上を両立させることで、持続的な成長の軌道を確かなものとする方針である。

同社グループの業績予想(営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益)に対する達成率は、2025年3月期まで14期連続で100%を上回っており、コロナ禍といった事業環境の変化にも柔軟に対応している。2026年3月期の業績予想も、中期経営計画2028における最終年度の数値目標達成を見据えた目標値としており、市場へのコミット達成意識がうかがえる。各事業の堅実な成長に加え、ストックビジネスの業績が拡大傾向にあり、通期計画の達成はもちろんのこと、中長期的な持続的成長も期待できると弊社では見ている。

2026年3月期第3四半期は、すべてのセグメントで増収増益を達成し、通期計画に対する進捗率は営業利益で72.0%、経常利益は71.8%である。第4四半期以降の物件販売計画も順調に進捗していることから、通期業績目標の達成確度は高いものと弊社では見ている。ただし、同社は通期業績予想に対しては、過度な上振れを追求するよりも計画の着実な達成を優先しており、安定的な業績コントロールを重視する姿勢がうかがえる。

2. 2026年3月期の重点施策
(1) 不動産再生事業
不動産再生事業では、売上総利益率30%超を2026年3月期も維持する見通しである。事業計画としては、既存のリプランニング事業に加え、新築ビルの開発、ニューヨークでのアパートメント・リプランニングや不動産小口所有商品の販売など、多様な案件を進めている。リプランニング事業では、都心の中小型ビルの付加価値創造への挑戦を継続し、独自の再生技術を強みに業績をけん引する。東京都心5区及び隣接区でのリプランニング累計実績は524棟に上った。さらに、培ってきたノウハウを生かし、大阪エリアでもオフィスビルを中心にリプランニング事業を開始した。同社によれば大阪圏のGDPは87兆円を超え、世界20位前後の国・地域に相当する経済規模である。同社はその経済中枢である大阪市において不動産活用を通じた地域の活性化を推進するとともに、増加傾向にあるスタートアップ企業向けのオフィス整備を通じて、事業成長を支援する。なお、大阪圏ではリノベーション物件が少なく、増築の履歴や法令適合面に課題がある物件が散見される。同社はこうした物件に対し、法令適合性を満たすリノベーションを施すことで、賃料の適正化、流動性の向上を企図している。

リプランニング事業では、国土交通省が実施する第2期「中小ビルのバリューアップ改修投資の促進に向けたモデル調査事業」において、同社の取り組みがモデル事例として3物件採択された。背景には、竣工から時間が経過した中小規模ビルの増加や、環境性能・遵法性・働く環境に対する社会的要請の高まりがある。本調査事業は、持続的活用に向けた改修モデルの発信や、改修投資を促進する環境整備、投資判断に資する効果や価値の可視化を目的としている。採択された事例の1つである「THE PORTAL IWAMOTOCHO」は、用途変更と環境配慮を組み合わせた改修が評価され、中小ビルでも応用可能な再現性と汎用性の高いモデルとなった。「本町ハイエストビル」は、法令不適合の是正や設備更新を通じて安全性と遵法性を確保するとともに、環境性能の向上によりリーシング及び売却面での優位性を高めた。「Biz Feel KANDA」は、適法化対応による遵法性と安全性の確保に加え、ウェルネス認証を通じて人財定着や生産性向上への寄与が示されたという。これらの事例は、同社の不動産再生が社会課題への対応と事業価値向上を両立していることを裏付けるものと言える。

新築ビル開発事業では、都心5区を中心としたエリアで、地域に根ざした中小型ビルのプロジェクトを多数展開している。資産回転率の高いリプランニング物件や不動産小口所有商品に加え、低層店舗ビルやオフィスビル等の新築物件を組み合わせることで、足元の業績のみならず、次期以降の安定的な収益基盤の構築を推進している。不動産小口所有商品においては、大阪エリアにおける開発が進んでいる。2025年12月には関西初進出となる「西宮医療モール」の売却が完了した。同年5月の1次販売で約8割が成約するなど、好調な販売状況であった。続く「箕面医療モール」についても2026年1月より販売を開始している。西宮・箕面の両エリアは、安定した居住層と利便性の高さを背景に、ヘルスケア需要の底堅い地域である。景気変動の影響を受けにくい医療モールを商品化することで、安定した収益を生み出す物件として今後期待される。

また、前期に引き続き良物件の仕入れ・開発を計画的に進めており、高収益・高稼働の物件の提供を継続している。2026年3月期は前期を上回る売却益を計画しており、積極的な投資の結果、期末棚卸資産は前期を上回る1,740億円~1,760億円規模に達する見通しである。これに伴い、想定売上高は2,320億円~2,500億円、売上総利益率は25%~30%を計画しており、期末棚卸資産の含み益は560億円~740億円程度となる計算だ。平均事業期間は2026年3月期第3四半期末で818日(前年通期比35日増)であり、回転率を維持しながら投資の回収と成長を図る。リプランニング事業の2026年3月期第3四半期末における棚卸資産の構成は、短期リプランニング物件が56.0%、中長期リプランニング物件が19.7%、新築ビル物件が14.9%、小口物件が3.8%、ニューヨーク物件が3.6%、新築レジデンスその他物件が2.0%となった。新築ビル物件や小口物件のウェイトが増加しており、アセットの多様化が進んでいる。同社グループは短期物件の平均事業期間の理想を1年半程度としている。回転率とバランスを意識した適正な棚卸資産構成により事業運営をしていることから、持続的な利益成長が期待できると弊社では見ている。

レジデンシャル開発事業においては、「人と街に笑顔をつなぐ価値創造型マンション開発」をコンセプトに掲げている。防音仕様やペット共生型設備を備えた高付加価値の一棟賃貸マンションの新築開発へと事業領域を拡大しており、居住者の多様なライフスタイルに対応した商品づくりを進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)

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