―急速に老朽化が進む昭和の施設、令和の国土強靱化の中核テーマに注目―
埼玉県八潮市の県道で昨年1月28日に発生した陥没事故から1年が経とうとしている。こうしたなか、下水道などを中心とした「インフラ点検」関連株に注目が集まっている。また、「令和の国土強靱化 」を掲げる高市早苗首相だが、急速に進むインフラ老朽化への対応を強める高市トレード関連株の一角としても投資家の視線は熱い。あれから1年、老朽化するインフラの点検、そして補修などで活躍する関連株を追った。
●調整十分、リバウンド初動とも
八潮市での道路陥没事故は下水道管の腐食による破損が原因だったが、国は翌29日に事故現場と同様の大規模な下水道管路を管理する7都府県に対し緊急点検と補完的に路面下空洞調査の実施を要請。その後、道路陥没事故の未然防止に向けて、全国で点検作業の実施が急速に進むことになった。こうした状況のなか、株式市場では水道管のインフラ点検に絡む幅広い銘柄に関心が向かうことになり、テーマ株としての人気素地を開花させることになった。現在もなお八潮市では復旧工事が続いているが、完全復旧まで5~7年はかかるとも伝わっており、インフラ点検による未然防止の重要性が浮き彫りとなった。インフラ点検関連株は、株価的にみれば調整十分な銘柄も少なくない。リバウンド初動ということもあり個人投資家を中心に短期資金の流入を後押ししている。
ブルーイノベーション <5597> [東証G]、Liberaware <218A> [東証G]などの ドローン関連株をはじめとするインフラ点検関連株は、解散・総選挙をにらみ高市トレードが復活したことも追い風に年初から上げ足を強めていた。もっとも、ドローン関連株に関しては、政府が国産化支援に乗り出し「2030年時点で8万台の生産体制の整備を目指す」という報道が強い刺激材料になった面もある。その後は調整を余儀なくされた銘柄も多いが、ここにきて値ごろ感も漂っている。
●4万橋の措置がいまだ完了せず
日本経済の高度成長期以降に整備された道路橋、トンネル、河川、上下水道、港湾などに加え、建設後50年以上経過する施設の割合が加速度的に大きくなるなか、インフラの点検はもはや待ったなしの状況だ。昨年4月に公表された国土交通省の資料によると、特に道路橋については、地方公共団体では修繕などが必要な約4万橋の措置がいまだ完了していないという。これまでの予算水準では、予防保全への移行までに約20年はかかるという先の長い話となっている。こうしたこともあり、「(インフラ点検は)長期にわたるテーマなだけに、まだ初動」(市場関係者)との見方は強い。衆議院選挙はあす27日に公示され2月8日投開票の予定だが、選挙戦の火ぶたが切られるなか、高市トレードの行方にも投資家の関心が集まっている。
今年に入っても9日には、新潟市において下水道管路の損傷の原因となった道路陥没が発生。トラックの通過直後に道路が陥没、まさに危機一髪のところで運転手やトラックに大きな被害はなかった。市によると、下水道管路の老朽化(1981年敷設)に加えて、下水から発生した硫化水素とコンクリートが反応し腐食したことが原因として想定されるという。インフラの老朽化は身の回りに潜む危険なだけに、点検からの保全が急がれる。
●存在感を高めるHmcomm
Hmcomm <265A> [東証G]はAIによる音声処理技術を基盤としたソリューションを展開するが、ここ急速にインフラ点検株の一角としても存在感を高めている。昨年12月には、同社と滋賀県守山市が共同で同年7月から開始した「水道管漏水検知システム」の実証実験が、順調に推移し最終フェーズへ移行したことを公表。更に、国交省のインフラ施設管理AI協議会の有識者委員として参画することも発表している。下水道インフラ関連株が物色人気化するなか、同社が取り組んできた異音検知AIソリューションによる事業の拡大に期待感が高まっている。25年12月期の単独業績予想は、営業利益段階で前の期比83.3%増の1億7300万円を見込んでいる。株価は1月7日に直近安値925円をつけたあと、急速に上げ足を強め16日には1350円まで買われている。現在は、1000円割れ寸前まで押し戻されているが、成長期待を背景に注目は怠れない。
●ショーボンドは「総合メンテナンス企業」標榜
「総合メンテナンス企業」を標榜するショーボンドホールディングス <1414> [東証P]は、橋梁をはじめ社会インフラの補修・補強を幅広くサポートしている。構造物の機能維持のため調査・点検を行い、老朽化するインフラの改修において欠かせない存在といえる。「橋梁補修維持工事」の発注が全国的に増加しており、今後も国や地方自治体からの受注に積極的に取り組む方針。26年6月期の連結営業利益は、前期比3.4%増と微増ながら最高益を更新する見込みだ。株価は今月19日に1458円まで買われ昨年来高値を更新。現在は上昇一服も1400円近辺で頑強展開をみせている。道路橋の修繕が喫緊の課題になるなか、活躍期待が高まりそうだ。
●トヨコー、ニーズを捉え成長ロード快走
トヨコー <341A> [東証G]は、老朽化した橋梁などのインフラメンテナンス技術を開発しており、ニーズを捉えた製品で成長ロードを快走している。老朽化したインフラのサビや塗膜などをレーザーで除去し、構造物の延命効果も期待される装置「CoolLaser(クーレーザー)」の製造・販売や、老朽化した工場の屋根を操業を止めずに補修する工法「SOSEI(ソセイ)」事業を展開しており、インフラの維持管理分野での活躍素地を広げている。昨年12月には、関越自動車道の土樽橋で横河ブリッジホールディングス <5911> [東証P]傘下の横河ブリッジ主催のもと、関係者向けにCoolLaserの試験施工を行ったと公表するなど需要拡大に懸命だ。9月中間期の単独営業利益は前年同期比3.1倍の4億1300万円となり、26年3月期通期計画に対する進捗率は約71%に達している。
●応用地質、インフラ老朽化対策でも活躍
応用地質 <9755> [東証P]は地質調査業大手だが、最新のAIやICTを用いて社会資本の効率的な維持管理と更新を支援し、インフラメンテナンス分野にも活躍領域を広げている。路面下空洞探査サービスも手掛けており、道路下の空洞を高精度で短時間にキャッチし、自動車などの陥没事故の予防を支援する。また、地中可視化サービス、トンネル点検・維持管理システムも展開している。業績は、道路陥没事故などを踏まえたインフラ老朽化対策業務、大規模自然災害に備えた防災・減災関連事業が引き続き堅調だ。今月8日には、集計中の25年12月期の連結業績予想について、営業利益では33億円から37億円(前の期比15.5%減)へ上方修正している。同時に、期末配当予想を47円から57円へ増額し、年間配当予想を100円(前の期86円)とした。株価は上昇一服場面だが押し目買いニーズも。
●上下水道コンサルでNJS、日水コン
上下水道のコンサルティングのNJS <2325> [東証P]への投資家の注目度も高い。八潮市の県道陥没事故で、ドローンによる現場調査を実施し復旧活動に協力したことで株価が急動意し、投資家の熱い視線が向かったことは記憶に新しい。昨年8月には八潮市道路陥没事故の対応に協力した団体として、埼玉県知事及び埼玉県下水道事業管理者から感謝状を贈られた。インフラ老朽化が顕在化する状況で、水インフラの再構築と管理の高度化・効率化が求められており、同社はコンサルティングとソフトウェアの両面からこれを推進している。25年12月期の連結営業利益は前の期比20.3%増の36億円を計画。株価は昨年9月につけた最高値6750円から調整し、現在は5000円近辺で推移している。
同じく上下水道コンサルの日水コン <261A> [東証S]も国土強靱化を背景に成長期待が高まる。老朽化した社会インフラの維持・管理の重要性が加速するなか、同社はインフラ施設の耐震化や機能維持などに注力している。巨大地震の発生が予測されるなか、同社の役割は大きくなりそうだ。25年12月期の連結営業利益は、前の期比5.7%増の23億円と最高益更新を計画している。
●土木管理、テラドローン、クラボウにも注目
土木建設の土質調査などを手掛ける土木管理総合試験所 <6171> [東証S]にも活躍期待が高まる。社会インフラの品質調査・試験から環境汚染、自然災害に対するコンサルティングまで活躍領域を広げるが、インフラメンテナンス維持管理にも注力。目視による点検に代わり同社が開発した3Dレーダ搭載車による高速調査・解析を活用することで、維持管理と更新コストの削減を図っている。更に、内閣府主導の第3期戦略的イノベーション創造プログラムで、スマートインフラマネジメントシステムの構築に協力機関として参画していることも見逃せない。
そのほかでは、自社開発の超音波探傷機能を備えた「Terra UTドローン」で非破壊検査などを展開するTerra Drone <278A> [東証G]にも注目。変わったところでは、高精度で点検費用と労務費を削減した「路面検査コンパクトユニット」や、限られた時間で作業を大幅に省力化・効率化する鉄道トンネル検査システムを手がける綿紡大手のクラボウ <3106> [東証P]にも目を配っておきたい。
株探ニュース
関連銘柄
| 銘柄 | 株価 | 前日比 |
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1414
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1,405.5
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-7.0
(-0.49%)
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218A
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1,488.0
(01/26)
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+6.0
(+0.40%)
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2325
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4,870.0
(01/26)
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-140.0
(-2.79%)
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261A
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2,411.0
(01/26)
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-47.0
(-1.91%)
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265A
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1,017.0
(01/26)
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-35.0
(-3.32%)
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278A
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2,653.0
(01/26)
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-10.0
(-0.37%)
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3106
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8,900.0
(01/26)
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-180.0
(-1.98%)
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341A
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2,195.0
(01/26)
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-25.0
(-1.12%)
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5597
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1,631.0
(01/26)
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-64.0
(-3.77%)
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5911
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3,140.0
(01/26)
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-60.0
(-1.87%)
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6171
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447.0
(01/26)
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-11.0
(-2.40%)
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9755
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2,897.0
(01/26)
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-63.0
(-2.12%)
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