ティアンドエス Research Memo(3):トータルソリューションを提供する独立系ソフトウェア受託開発企業(2)

配信元:フィスコ
投稿:2026/01/09 11:03
*11:03JST ティアンドエス Research Memo(3):トータルソリューションを提供する独立系ソフトウェア受託開発企業(2) ■ティアンドエスグループ<4055>の会社概要

2. 事業内容の続き
(1) DXソリューションカテゴリー
重電系管理システム、プラント・工場の生産管理システム、経費精算システム、人事考課システムなどをはじめとする業務アプリケーションの受託開発サービスを提供するほか、各種システムのオンサイトでの開発支援も行っている。また、開発にとどまらず、コンサルティングから要件定義、テスト、検証、運用・保守とバリューチェーンの全てのフェーズでサービスを提供しており、これが競争優位性の1つとなっている。ワンストップでソリューションを提供することにより、顧客の利便性が向上する。一方、同社にとってはバリューチェーンの様々な段階で顧客ニーズを吸い上げ、収益機会の最大化につながる。

DXソリューションカテゴリーは同社の収益基盤であり、2025年9月期の売上高に占める同カテゴリーの割合は58.3%である。取引先企業は、強固な顧客基盤である東芝グループ、日立グループ、重電系メーカーをはじめ、金融、サービス、情報通信関連など多岐にわたる。こうした大手企業との取引実績を生かし、顧客の幅を拡大させている。

同カテゴリーの業績は、今後も堅調に推移すると弊社は見ている。同社の主力顧客基盤からの安定した受注が期待できることに加えて、日本企業のDX推進がさらに加速しているためである。IT化やDXの流れは、当面続くことが予想され、堅調な需要が見込めるカテゴリーである。

(2) 半導体ソリューションカテゴリー
半導体工場内のシステム開発、運用・保守並びにインフラ構築支援などのサービスを提供している。DXソリューションカテゴリーと同じく、開発にとどまらずコンサルティングから要件定義、テストとバリューチェーンの全てのフェーズでサービスを提供している。具体的には、各種半導体関連システムの受託開発、業務アプリケーション導入支援、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:事業プロセスを自動化する技術の1つ)導入・運用支援、業務プロセス効率化支援などのサービスを提供している。

半導体ソリューションカテゴリーも同社に安定した収益をもたらす源泉となっており、2025年9月期の売上高に占める同カテゴリーの割合は31.2%とDXソリューションに次ぐ。主な顧客は、東芝グループとキオクシアグループ、ソニーグループ<6758>である。

キオクシア、Rapidus(株)等の国内メーカーのほか、台湾積体電路製造股フン有限公司(TSMC)やマイクロン・テクノロジー傘下のマイクロンメモリジャパン(株)等の半導体各社の投資が予定されている。また、政府は国策として半導体産業への支援に多額の補助金拠出を予定しており、当面の市場拡大が予想される。半導体は、DXの成否を左右する部品と言っても過言ではなく、今後ますます半導体に対する需要が拡大すると弊社は考えている。

実際、(一社)WSTS日本協議会の「2025年秋季半導体市場予測について」によると、市場規模は順調に拡大している。2023年は、世界的なインフレやそれに伴う利上げ、地政学的リスクの高まりなどを受け、前年比マイナスの526,885百万米ドルとなった。2024年は前年比約19.7%増の630,549百万米ドルとなり、生成AIの普及を背景とした大手IT企業によるデータセンター投資の拡大により、メモリー製品やGPUなどのロジック製品が成長をけん引した。2025年は成長率がさらに高まり、772,243百万米ドルと予想される。データセンター投資の加速に加え、AI機能を搭載したスマートフォンやパソコンなどエッジAI分野も需要を押し上げる。関税や地政学リスクによる不透明感は残るものの、各国政府の半導体支援策が下支えとなり、非AI用途も緩やかな回復が予想される。2026年も975,460百万米ドルと、データセンター投資を主軸に高成長が続き、メモリー・ロジック製品が一段と成長する見通しである。

また、仮に半導体の生産が減少したとしても、工場が稼働している限り、管理システムの保守・運用などのサービスに対する需要が急減することは考えにくい。加えて、半導体工場向けのシステム開発は、設備投資計画や生産効率向上を前提とした中長期的なプロジェクトとして進められるケースが多く、足元の生産量の変動による影響は限定的である。このような特性から、同社の半導体ソリューションは安定した収益基盤を有すると同時に、スマートファクトリー化やDX投資の進展などを背景として中長期的な成長が期待できる分野と位置付けられる。同社としても、同分野を成長ドライバーの1つと捉え、売上高に占める比率を段階的に引き上げる方針である。

(3) AIソリューションカテゴリー
AI(機械学習/ディープラーニング)・画像認識・ハードウェア制御等の最新かつ高度な技術を駆使し、ソフトウェアの高機能化及び品質向上を実現する各種サービスを提供している。同社は、特に画像認識の分野に強みを持ち、大手企業の研究開発などの支援を積極的に行っている。これまでの取引実績としては、日本電気<6701>(NEC)、(株)日立ハイテク、本田技研工業<7267>オムロン<6645>トヨタ自動車<7203>をはじめとする大手企業や(国研)宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの独立行政法人が挙げられる。

AIソリューションカテゴリーは、今後の成長と新たな収益源になることが期待できる事業分野である。2025年9月期の売上高に占める同カテゴリーの構成比は前期比0.9ポイント上昇の10.5%と順調に拡大している。

AIアルゴリズム研究開発支援に関しては、世界中にあるAIアルゴリズムの中から顧客のニーズに最も沿ったAIアルゴリズムを選定し、実装・テストをして使用可否を検証したうえで提案をするという独自のビジネスモデルを構築している。自社でゼロからAIアルゴリズムを構築するのに比べ、幅広い業種の顧客に対応し、多くの収益機会を得られることに加え、他社に同様のビジネスモデルを行っている企業がない点も強みである。

また、同社の社員は常に最新のAIアルゴリズムに触れることでAIの最新動向を把握しているため、顧客により先進的な提案ができるのも同ビジネスモデルの特長である。最先端技術を扱う同カテゴリーにおいて、顧客の課題を解決できる付加価値の高いソリューションを提供するために、博士号やそれに準ずる知識を持つソフトウェア技術者を積極的に採用している。2024年4月からは、業界トップレベルのパフォーマンス力を持つHailo AIビジョンプロセッサ・Hailo AIアクセラレータを用いて、エッジAIソフトウェアの開発並びにプロセッサのハードウェア性能向上を支援するソリューションの提供を開始している。今後も生成AIがビジネス活動に浸透していくことが想定され、これらの新規サービスも同カテゴリーの業績拡大に寄与することが期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)

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