明日の株式相場に向けて=「マテリアル系」銘柄にビッグウェーブ
きょう(29日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比223円安の5万0526円と3日ぶり反落。朝方の日銀金融政策決定会合(18~19日開催分)の「主な意見」がタカ派寄りであったとの見方で長期金利上昇と円高を誘発し、朝方に先物主導で仕掛けが入り400円超下げる場面があったが、その後は下げ渋った。もっとも、下げ渋ったという表現は妥当ではなく、値上がり銘柄数が1000近くに達しており全体の6割を占めた。TOPIXはプラス圏で着地し、プライム市場の騰落レシオ(25日移動平均)は120%を超えたまま。半導体主力株が安かったものの、俯瞰すれば最近復活の兆しをみせているグロース市場を含め、(実質新年商いではあるが)あちらこちらで“掉尾の一振”が見られた。個別株物色意欲は非常に旺盛と言ってよさそうだ。これまで待機していた個人投資家マネーが、ここぞと縦横無尽に駆け巡っているような印象である。物色の流れはマテリアル系銘柄が本領を発揮している。すなわちレアアース関連や金・銀・銅・プラチナなどの貴金属・非鉄市況高騰の熱波が株式市場上空を覆っているような状況だ。レアアースに関しては、海洋研究開発機構などが来年1月中旬から南鳥島沖の深海底掘削により、レアアースを多く含む堆積物(レアアース泥)を試験採取することを発表した。レアアースは、しばしば中国側が米国をはじめ他国との交渉カードに使う資源で、それだけに経済安全保障の観点で国産化の重要性が高まっている。そのなか、日本にとって南鳥島沖の試掘作業はマーケットの耳目を集める重要案件となる。
レアアース泥の回収システムに関する技術開発で評価が高く、南鳥島沖でのレアアース泥採掘事業に参画している東洋エンジニアリング<6330.T>がストップ高に買われたほか、同テーマの常連銘柄であるアサカ理研<5724.T>も値を飛ばした。このほか国土強靱化・港湾部門の有望株でもある東亜建設工業<1885.T>はレアアース関連としての切り口でも注目され始めた。更に相対的な出遅れ株としてマークしたいのが古河機械金属<5715.T>だ。同社は土木・鉱山用などの車載用クレーンや削岩機などで高い競争力を誇るが、その高度な商品開発力を横軸展開し、レアアース回収機材の開発では先駆的存在。既に2018年から開発に取り組み、試作段階ながら機材開発を漸次進行させており、元来であればこのテーマでは本命格に位置する銘柄といっても過言ではない。また、穴株では官公庁案件に強い建設コンサル会社、いであ<9768.T>がレアアース関連としても頭角を現しそうだ。同社の前身は“新日本気象海洋”であり、海洋の環境調査で実績を重ねている。今後の海洋資源開発プロジェクトでカギを握る可能性がある。
マテリアル系銘柄の躍進はここだけではない。オリンピックのメダルではないが金・銀・銅、揃い踏みの価格高騰が目を見張るよりない状況となってきた。金市況の上昇に陰りがみられないなか、特に注目すべきは、ここにきて後方から猛チャージしてきた銀の存在で、株式市場でもビッグウェーブを巻き起こしている。市場関係者によると「米系ヘッジファンドの攻勢が著しい。根拠としてはゴールドとシルバーの交換比率は1対15というのが歴史観からみたスタンダードで現状は銀が安すぎるというもの」(ネット証券アナリスト)という。銀はロンドンの現物価格が1トロイオンス80ドルを超え、金同様に最高値圏を舞い上がっているが、交換比率を当てはめると金の4500ドルの15分の1で300ドルはあって不思議はないという主張である。ここ最近の純金上場信託(現物国内保管型)<1540.T>と純銀上場信託(現物国内保管型)<1542.T>のチャートの形状を比較すると大きな違いが見て取れる。両銘柄とも10月17日に高値をつけた後に調整したが、そこからの戻りは純金信託に対して純銀信託は5倍速くらいのスピード感を伴う。そして、ここからが佳境入りというのだが、話半分に聞いても株式市場の体感温度はそれをある程度裏付ける熱気である。
銀関連の個別企業では、きょうは東邦亜鉛<5707.T>が収益感応度の高い銘柄としてストップ高で買い物を残す人気となった。そこで目先はエンビプロ・ホールディングス<5698.T>に着目。同社はレアアース磁石のリサイクルに注力する一方で、銀滓の回収でも実績が高く、600円台絡みの株価は値ごろ感がある。PBR1倍台の時価に割高感はなく、21年11月には1409円の最高値を形成しているが、中勢4ケタ台復帰もあり得るシナリオだ。
このほか、国土強靱化で要マークといえるのがジオスター<5282.T>。ここにきて大勢2段上げの非常に強力な上昇波を形成しているが、株価は400円台でなおかつPBRは0.5倍強と解散価値のほぼ半値水準に位置しており、水準訂正の伸びしろは大きい。また、10月中旬にも取り上げたイトーヨーギョー<5287.T>が再動意の気配がある。貸株市場を通じたショートが積み上がっているが、これは急騰した東邦鉛と同じような需給条件である。
あすの東京株式市場は2025年の大納会となる。海外では10月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、12月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が発表されるほか、FOMC議事要旨(12月9~10日開催分)が公表される。なお、フィリピン市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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(15:45)
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