豪ドル
RBA(豪中銀)は25年2月・5月・8月の政策会合でそれぞれ0.25%の利下げを実施。9月・11月・12月の会合では政策金利を3.60%に据え置きました。
ブロックRBA総裁は12月の会合後の会見で「さらなる利下げは必要ないと考えている」と述べ、追加利下げの可能性を否定。また、「(RBAは)現在のインフレ率の水準に満足しておらず、インフレ率を引き下げるために必要なことを行う」とし、「データがインフレの鈍化を示唆しない場合、26年2月の会合で(利上げを)検討する」と語りました。
市場では、RBAによる利下げは打ち止めとなり、次の動きは利上げになると予想されています。OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、RBAは早ければ26年5月に利上げを行い、26年末までに0.25%の利上げを2回実施するとの見方が優勢です。一方、FRB(米連邦準備制度理事会)は今後さらに利下げを行いそうです。RBAとFRBの金融政策面からみれば、豪ドル/米ドルには上昇圧力が加わりやすいとみられます。
豪ドル/円も堅調に推移する可能性があります。日銀の追加利上げのペースは緩やかになるとみられ、日銀と比較してRBAの政策金利の水準が高い状況に大きな変化はないと考えられるからです。
豪ドルには投資家のリスク意識を反映しやすいという特徴があります。日米など主要国の株価が堅調に推移するなどしてリスクオン(リスク選好)が強まる場合、豪ドルのサポート要因になりそうです。
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【豪ドル/NZドル】
市場では、RBAとRBNZのいずれも、利下げサイクルは終了して“次の動きは利上げ”になると予想されています。ただ、利上げ開始のタイミングはRBNZよりもRBAの方が早くなるとの見方が有力であり、実際にそのとおりになれば、豪ドル/NZドルは堅調に推移するかもしれません。
ただし、RBNZもいずれ利上げを開始するとみられます。その場合、RBNZは24年と25年に大幅な利下げ(合計3.25%。RBAは合計0.75%)を実施した分、利上げ幅も大きくなる可能性があります。
NZドル
RBNZ(NZ中銀)は24年8月に利下げを開始し、25年11月まで9回合計3.25%の利下げを行いました。25年12月26日時点の政策金利は2.25%です。
25年11月に公表されたRBNZによる政策金利予測では、現局面の利下げサイクルの最終到達水準は2.20%でした。現在の政策金利のわずか0.05%下の水準であり、RBNZの利下げは打ち止めになる可能性があります。
OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場ではRBNZによる利下げサイクルは終了し、26年後半に0.25%の利上げが2回行われるとの見方が優勢です。一方、FRBは今後さらに利下げを行うと予想されます。RBNZとFRBの金融政策面からみれば、NZドル/米ドルには上昇圧力が加わりやすいと考えられます。
NZドル/円も堅調に推移する可能性があります。日銀は今後追加利上げを行うとみられるものの、そのペースは緩やかになりそうです。日銀とRBNZの政策金利差はそれほど縮小しないと考えられるからです。
NZドルは豪ドルと同様に投資家のリスク意識を反映しやすいという特徴があります。日米など主要国の株価が堅調に推移するなどしてリスクオン(リスク選好)が強まる場合、NZドルのサポート要因になりそうです。
カナダドル
BOC(カナダ中銀)は24年6月に利下げを開始し、25年10月まで9回合計2.75%の利下げを実施。25年12月の会合では政策金利を2.25%に据え置くとともに、「現在の政策金利は、経済を支えつつインフレ率を2%近辺に維持するのに、ほぼ適切な水準だ」との認識を示しました。
市場は、BOCによる利下げは打ち止めで次の動きは利上げになると予想。OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場では26年終盤に利上げが行われるとの見方が優勢です。FRBが今後さらに利下げを行う場合、BOCとFRBの金融政策面から米ドル/カナダドルは軟調に推移しそうです。
原油価格が大きく変動する場合、その動向も相場材料になるかもしれません。カナダドルにとって原油価格の上昇はプラス、原油価格の下落はマイナスになると考えられます。
USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の見直しが26年7月までに行われる予定です。USMCAはトランプ政権1期目の20年7月1日に発効し、発効6年目に協定締結国共同で見直すことが協定に定められています。USMCAの見直し交渉にも注目です。仮に交渉が難航する場合、カナダドルにとってのマイナス材料になる可能性があります。
トルコリラ
TCMB(トルコ中銀)は25年12月の政策会合で1.50%利下げすることを決定。政策金利を39.50%から38.00%へと引き下げました。TCMBによる利下げは4会合連続で、24年12月以降の利下げ幅は合計12.00%となりました。
TCMBは25年12月会合の声明で「実際のインフレ率やインフレ期待、およびそれらの基調を踏まえ、中間目標(※)に沿ったディスインフレの道筋に必要な引き締め度合いを確保するように政策金利を決定する」、「(政策)措置の規模は、インフレ見通しを重視しつつ会合ごとに慎重に見直す」と表明しました。これらは10月の会合と同じであり、TCMBは今後さらに利下げする可能性があります。TCMBによる利下げはトルコリラにとってのマイナス材料と考えられます。
(※)TCMBのインフレ目標は5%です。ただし、TCMBは中間目標として、インフレ率を26年末までに16%、27年末までに9%へと鈍化させることを掲げています。トルコの25年11月のCPI上昇率は前年比31.07%でした。
南アフリカランド
SARB(南アフリカ中銀)は24年9月に利下げを開始し、25年11月まで6回合計1.25%の利下げを実施。25年12月26日時点の政策金利は6.75%です。
市場ではSARBは今後さらに利下げすると予想されています。ただ、SARBは25年11月にインフレ目標をこれまでの「3~6%」から「3%プラスマイナス1%」へと引き下げました。SARBはこれまでよりも追加利下げに慎重になるかもしれません。南アフリカの25年11月のCPI上昇率は前年比3.5%でした。CPIの今後の動向次第ではSARBによる利下げ停止観測が市場で浮上する可能性があり、その場合には南アフリカランドにとってのプラス材料になりそうです。
メキシコペソ
BOM(メキシコ中銀)は24年3月に利下げを開始し、25年12月まで合計4.25%の利下げを行いました。25年12月26日時点の政策金利は7.00%です。
25年12月会合の声明ではフォワードガイダンス(先行きの金融政策の示唆)が修正されました。直近2会合(25年9月と11月)は今後について「政策金利の引き下げを検討する」でしたが、今回は「追加的な政策金利調整のタイミングを検討する」になりました。BOMは利下げをいったん停止する可能性があり、そのとおりになればメキシコペソにとってのプラス材料になりそうです。
カナダドルと同様、原油価格の動向やUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の見直し交渉にも注目です。原油が堅調に推移すればメキシコペソのサポート要因になると考えられる一方、USMCAの見直し交渉が難航すればメキシコペソの上値を抑える要因になるかもしれません。
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