*11:32JST ナック Research Memo(2):2026年3月期中間期は最終利益を除き減収減益
■ナック<9788>の業績動向
1. 2026年3月期中間期の業績概要
売上高27,383百万円(前年同期比1.6%減)、営業利益419百万円(同45.1%減)、経常利益429百万円(同43.2%減)、親会社株主に帰属する中間純利益281百万円(同160.5%増)となった。中間計画比では、売上高が8.7%未達、営業利益が35.4%未達、経常利益が33.6%未達、親会社株主に帰属する中間純利益が37.5%未達となり、前年同期比では売上面はほぼ同等であったものの利益面で下回り、計画比ではいずれも未達で着地した。主な要因としては、前期に好調だった住宅事業が2025年4月施行の建築基準法改正(木造住宅に関する構造計算義務化拡大)に伴う工期の延長(確認申請審査の長期化)や建築コストの上昇等を要因として引き渡し棟数減少を招き、同16.9%減の4,366百万円となった。ほかにも、建築コンサルティング事業は顧客である中小工務店の業績不振といった構造的な課題を抱えており、同6.7%減の2,188百万円となった。前者については同社でも相応の予想を立てていたが、想定以上に響いたもようだ。
その他売上面では、主力のクリクラ事業において直営部門での宅配水の1顧客当たりのボトル消費量増加や解約率低下、加盟店部門でのサーバー販売台数増加等が寄与したほか、前期に子会社化した(株)コンビボックスの堅調な業績もあって同4.6%増の8,161百万円となった。レンタル事業は同0.4%増の8,908百万円と、ダスキン事業の同1.6%増が収益を支えた。美容・健康事業は(株)JIMOSでの広告販促を強化したことで増収となったものの、他部門での減収により全体としては同0.0%減の3,155百万円となった。なお、今期より新設した「その他」の部門には食品スーパー「Yesmart」事業や中古品買取の「買取大吉」事業のフランチャイズ運営等が含まれるが、両者ともに出店を強化したことで、全体では同57.1%増の753百万円と大きく伸びた。利益面では全体としての売上総利益が増加した一方で、人件費がベースアップやM&Aによるグループ拡大で増加したほか、広告宣伝費や販売促進費はクリクラ、レンタル、美容・健康の各事業で増加した。なお、現中期経営計画期間は長期ビジョン2035実現に向けた投資フェーズと位置付けられているが、たとえば成長投資だけ見ても、M&Aや人的資本投資を含め合計60億円以上の投下を見込んでおり、同方針に沿った内容である。また、その他販管費としてクリクラ事業でサーバーのリース料金の増加があったことで、営業利益は前年同期比減益となった。事業別では、クリクラ事業は増収効果による増益があった一方でその他の各事業は軒並み減益となり、建築コンサルティング事業、住宅事業及び「その他」部門では営業赤字を計上した。なお中間純利益が前年同期比で増益となったのは、前年同期に計上した投資有価証券評価損(185百万円)等の特別損失の反動によるものである。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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1. 2026年3月期中間期の業績概要
売上高27,383百万円(前年同期比1.6%減)、営業利益419百万円(同45.1%減)、経常利益429百万円(同43.2%減)、親会社株主に帰属する中間純利益281百万円(同160.5%増)となった。中間計画比では、売上高が8.7%未達、営業利益が35.4%未達、経常利益が33.6%未達、親会社株主に帰属する中間純利益が37.5%未達となり、前年同期比では売上面はほぼ同等であったものの利益面で下回り、計画比ではいずれも未達で着地した。主な要因としては、前期に好調だった住宅事業が2025年4月施行の建築基準法改正(木造住宅に関する構造計算義務化拡大)に伴う工期の延長(確認申請審査の長期化)や建築コストの上昇等を要因として引き渡し棟数減少を招き、同16.9%減の4,366百万円となった。ほかにも、建築コンサルティング事業は顧客である中小工務店の業績不振といった構造的な課題を抱えており、同6.7%減の2,188百万円となった。前者については同社でも相応の予想を立てていたが、想定以上に響いたもようだ。
その他売上面では、主力のクリクラ事業において直営部門での宅配水の1顧客当たりのボトル消費量増加や解約率低下、加盟店部門でのサーバー販売台数増加等が寄与したほか、前期に子会社化した(株)コンビボックスの堅調な業績もあって同4.6%増の8,161百万円となった。レンタル事業は同0.4%増の8,908百万円と、ダスキン事業の同1.6%増が収益を支えた。美容・健康事業は(株)JIMOSでの広告販促を強化したことで増収となったものの、他部門での減収により全体としては同0.0%減の3,155百万円となった。なお、今期より新設した「その他」の部門には食品スーパー「Yesmart」事業や中古品買取の「買取大吉」事業のフランチャイズ運営等が含まれるが、両者ともに出店を強化したことで、全体では同57.1%増の753百万円と大きく伸びた。利益面では全体としての売上総利益が増加した一方で、人件費がベースアップやM&Aによるグループ拡大で増加したほか、広告宣伝費や販売促進費はクリクラ、レンタル、美容・健康の各事業で増加した。なお、現中期経営計画期間は長期ビジョン2035実現に向けた投資フェーズと位置付けられているが、たとえば成長投資だけ見ても、M&Aや人的資本投資を含め合計60億円以上の投下を見込んでおり、同方針に沿った内容である。また、その他販管費としてクリクラ事業でサーバーのリース料金の増加があったことで、営業利益は前年同期比減益となった。事業別では、クリクラ事業は増収効果による増益があった一方でその他の各事業は軒並み減益となり、建築コンサルティング事業、住宅事業及び「その他」部門では営業赤字を計上した。なお中間純利益が前年同期比で増益となったのは、前年同期に計上した投資有価証券評価損(185百万円)等の特別損失の反動によるものである。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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