物価高で変革ニーズ拡大、好業績満喫の「外食ソリューション」関連株 <株探トップ特集>

配信元:株探
投稿:2025/12/25 19:30

―人手不足・コスト負担増に直面の外食産業、デジタル化・業態転換の提案で成長支援―

 年末年始は 外食産業にとって忘年会、新年会の予約が集まる書き入れ時のシーズンだ。人件費や食材費用が上昇するなか、外食企業は持続的な成長を遂げる「勝ち組」と客離れに喘ぐ負け組との二極化が進み、小規模事業者では廃業に追い込まれる店舗が後を絶たない。効率的な店舗運営につながるデジタル化や、既存店売上高の活性化につながる業態転換へのニーズに対応する企業には好業績を満喫するところが多く、内需型成長銘柄として投資家側の評価が一段と高まるシナリオも横たわる。

●値上げ効果で外食売上高全体は増加

 日本フードサービス協会が25日に発表した11月の外食産業市場動向調査によると、外食売上高は全店ベースで前年同月比8.7%増と48カ月連続の増収となった。食材費や人件費の上昇分をメニュー価格に転嫁する動きが広がっており、客単価の増加がトップラインを押し上げる構図となっている。もっとも消費者の節約志向は強く、低価格業態の ファストフードが同8.8%増と堅調だったほか、ファミリーレストランの「洋風」における低価格業態の好調なども指摘された。

 値上げは客離れを引き起こすトリガーになりうる。業態別の客数をみると、ファストフードのうち「持ち帰り米飯/回転寿司」で前年同月を下回る結果となっている。回転寿司チェーンの多くはコメ価格の高騰による原価率の上昇という課題に直面しており、大手のくら寿司 <2695> [東証P]が10日に開示した26年10月期の業績予想は、最終利益が前期比16.8%減となっている。

 帝国データバンクが8日に発表した「倒産集計2025年11月報」によると、11月末での飲食店運営事業者の累計倒産件数は820件に上った。このままのペースで倒産件数が増加した場合、暦年では過去最多だった24年(894件)を上回り、初の900件超えとなる可能性があると指摘する。食材費や人件費の高騰で事業の継続を断念するケースが増加しているという。外食市場全体は拡大しながらも、優勝劣敗が進んでいる。

 物価や賃金の上昇によるコスト負担をこなすためには、DXを含め、収益構造の改革などに向けた取り組みが不可欠となる。「物価高に加えて金利上昇による借り入れコストの増大が見込まれるなかで、ただ店舗数を拡大するだけでは勝ち組になるのは難しい。儲ける仕組みを構築している企業や、ローコストオペレーションを徹底している企業でなければ、投資家の評価は高まりにくい」(国内証券アナリスト)との声もある。

 外食産業の場合、フィジカルAIやロボットを導入するにしても、適用範囲は配膳もしくは厨房業務の一部などに限られてしまう。生産性の向上につながる設備の導入や、注文・会計業務、店舗ごとの業務管理などでのDX化を通じ、コスト低減を図るのが王道と言えるだろう。状況によっては客数の活性化に向けて業態やブランドの刷新に迫られる可能性も出てくる。成長戦略を立案するうえでの名参謀となり、ソリューション活動や業務改革につながる製品・サービスを展開する上場企業のうち、直近で業況が堅調な企業を以下にピックアップしていく。

●ジャストプラなどに注目

 ジャストプランニング <4287> [東証S]は外食業界向けに店舗・本部管理システムやPOS・オーダーシステムを提供し、DXを支援。「まかせてシリーズ」の契約店舗数は10月末時点で7041店舗と、26年1月期の目標である6700店舗を上回り、今年1月の水準と比較して9%増となるなど順調に拡大している。AIが厨房オペレーションを指揮する「まかせてAIデシャップ」を大阪ガス <9532> [東証P]傘下のオージス総研と共同開発し、8月に提供を開始した。26年1月期第3四半期累計(2~10月)は「まかせてシリーズ」のASP事業や物流ソリューション事業が好調に推移し、2ケタの増収増益を果たしている。

 スマレジ <4431> [東証G]はiPadやiPhoneを使ったクラウド型POSレジアプリ「スマレジ」を展開。損益管理やAIレポートなどの機能を有料プランで提供し、外食企業の店舗経営の効率化と生産性の向上を促す。26年4月期は過去最高業績の連続更新を計画。最重要指標と位置付ける年間経常収益は10月末時点で99億4000万円を突破し、中期経営計画の目標(94億6000万円)を半期前倒しで上回った。勤怠・労務管理のクラウド型サービスも拡大している。

 テンポスホールディングス <2751> [東証S]は飲食店向けに中古厨房機器などを販売。26年4月期は過去最高業績の達成を見込む。子会社のテンポスバスターズでは新規出店によるシェア拡大を図るとともに、コンサル・プロデュース型のビジネス体制の構築に邁進。社内の選抜メンバーを高度なコンサルタントに育成し、物件紹介や内装工事、販促支援、人材紹介など飲食店の抱えるさまざまな課題の解決を図り、客単価の向上につなげる取り組みを進めている。25年8~10月期の売上高と営業利益が前年同期比17%増と業況は堅調だ。

 ミクリード <7687> [東証G]は中小飲食店を主要顧客として、通信販売による業務用食材の企画・販売を展開。顧客とのタッチポイントとしてネット受注率が8割超となり、顧客数は過去最高の更新が続く。成長戦略として居酒屋以外の客層の拡大とともに、既存顧客に対して取扱商品を増やしつつ、パートやアルバイトの紹介や送客に関する新たなサービスにも注力する方針。10月に26年3月期第2四半期累計(4~9月)の決算発表にあわせ、通期の業績・配当予想を上方修正している。

 オプティム <3694> [東証P]は医療や建設・土木、農業など幅広い領域でDXを促進するAI/IoTサービスを主力とする。飲食向けには顧客接点プラットフォームやAIエージェント型チャットボットを提供している。22年12月にはぐるなび <2440> [東証S]と外食産業のDXサービス分野での資本・業務提携を発表。直近でも写真を撮るだけでAIが最適な店舗宣伝を実現するAI集客サービスの提供開始を公表し、外食産業からの引き合いが期待される。26年3月期は営業減益を計画するものの、11月に発表した9月中間期の営業利益は前年同期比15%増で、通期計画に対して進捗率は58%とまずまずの水準となっている。

株探ニュース
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