*11:36JST イノベHD Research Memo(6):株主還元を強化
■成長戦略
3. 株主還元策
イノベーションホールディングス<3484>の株主還元については2024年3月期より配当方針を変更し、配当性向を40%~50%台でDOE(株主資本配当率)2ケタ台とした。さらに利益成長に合わせて連続増配を行う方針としている。この方針に基づいて2026年3月期の配当予想は2025年11月13日付で期末4.00円上方修正して、前期比6.00円増配の34.00円(期末一括)としている。5期連続増配で予想配当性向は44.8%となる。DOEは2024年3月期が10.1%、2025年3月期が11.7%と2期連続で2ケタ台を達成している。また株主優待制度については、毎年3月31日時点で同社株式を500株以上保有し、かつ1年以上継続して500株以上保有している株主を対象に、ジェフグルメカード10,000円分を贈呈する。
「居抜き」店舗の活用は廃棄物削減に貢献
4. サステナビリティ経営
同社はサステナビリティ経営も強化している。CSR活動としては2019年6月より、同社が転貸借した飲食店を利用して、子ども食堂「お店のこども食堂」を推進している。食事が十分に取れない子どもへの食事の提供にとどまらず、親の帰宅まで居場所がない子どもへの居場所づくり、子育て支援など、より広く開かれた社会的インフラになることを目指している。この取り組みが評価されて2022年度グッドデザイン賞を受賞した。なお2025年9月末時点の累計実績は参加店舗数が86店舗、食事提供数が10,458食となった。
また店舗転貸借事業は「居抜き」店舗を活用するため、造作物(厨房機器、エアコン、テーブル、床コンクリート、排水管、排気ダクト、看板等)の廃棄量削減に貢献するビジネススキームである。店舗の造作物は一般的に解約時に毎回撤去され、契約時に毎回新たに設置されるのが通常だが、居抜き物件(造作物が残っており、すぐに営業できる状態の物件)を飲食テナントに転貸することで、造作物のリユース・リデュース(再使用・発生抑制)を行い、廃棄物を削減できる。同社の直近5年間の居抜き物件成約数は1,215件(平均物件面積55.3m2)、同物件面積における飲食店の標準的な造作物重量(推計)は約13,200kgであり、削減した造作物の廃棄量を試算(成約件数1,215件×標準的な造作物重量13,200kg)すると約16,038tとなり、大型(10t)トラック約1,603台分に相当する。
各種施策の着実な実行により企業価値向上を目指す
5. 東証プライム市場の上場維持基準適合に向けた計画書
同社は2022年4月に実施された東証の市場区分見直しに伴ってプライム市場へ移行したが、移行基準日(2021年6月30日)時点の流通株式時価総額がプライム市場の上場維持基準に適合していなかったため、2021年12月15日付でプライム市場の上場維持基準適合に向けた計画書を開示した。中期経営計画で掲げた各種施策の着実な実行によって継続的な業績向上と企業価値の向上を図るとともに、積極的な株主還元策、IR活動などの取り組みも強化し、2028年3月末までに流通株式時価総額の上場維持基準適合を図るとしている。
その後、流通株式比率の向上に向けて2023年11月に、自己株式を活用した第三者割当による第3回新株予約権(行使価額修正条項及び停止要請条項付)の発行を決議した。割当先は東海東京証券(株)、発行新株予約権総数は9,000個(新株予約権1個につき100株)、行使可能株価は1,340円、下限行使価額は1,198円、行使期間は2023年12月7日~2026年12月7日、調達予定金額(差引手取概算額)は1,077百万円である。なお同社が保有する自己株式900,608株を活用するため新株は発行しない。流通株式比率の向上により、流通株式時価総額の向上及び1日平均売買代金の増加に好影響を及ぼし、東証プライム市場の上場維持基準の充足に資することが期待される。
また2025年5月13日付で上場維持基準の適合に向けた計画(改善期間入り)に基づく進捗状況をリリースした。2025年3月31日時点では流通株式時価総額がプライム市場の上場維持基準に適合していないため、引き続き中期経営計画で掲げた各種施策の着実な実行によって継続的な業績向上や企業価値の向上を図り、改善期間である2026年3月末時点での適合を目指す。一方で、当期より1年間の改善期間に入っていることを考慮し、状況を鑑みつつ東証スタンダード市場への市場変更も検討するとの認識も表明している。また2025年11月18日付で第3回新株予約権の行使可能株価に基づく行使制限期間を2026年6月5日へ延長した。
転貸借物件数が増加基調である点を評価、利益成長の加速を期待
6. 弊社の視点
外食産業の規模は大きく、店舗数では同社がターゲットとする小規模事業者が大半を占めている。また、開業・廃業による入れ替えが激しいため、同社の「東京・飲食店・居抜き」領域の店舗転貸借事業にとってビジネスチャンスは豊富であり、さらなる市場開拓余地も大きい。こうした事業環境の下、ストック収益のベースとなる転貸借物件数が右肩上がりの増加基調であり、今後も安定的に収益拡大基調が期待できる点を弊社では高く評価している。さらに、これまで推進してきた人材育成や営業組織改革の効果が顕在化してきたことに加え、店舗転貸借事業では空中階や非飲食店舗への事業領域拡大、不動産売買事業では安定的な利益の確保、家賃保証事業では事業展開エリアの拡大などを推進する方針である。人材育成の成果として、物件にあった値付けによって転貸借賃料・粗利が上昇傾向の模様であり、これらの戦略によって中長期的に利益成長の加速が期待できると弊社では注目している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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3. 株主還元策
イノベーションホールディングス<3484>の株主還元については2024年3月期より配当方針を変更し、配当性向を40%~50%台でDOE(株主資本配当率)2ケタ台とした。さらに利益成長に合わせて連続増配を行う方針としている。この方針に基づいて2026年3月期の配当予想は2025年11月13日付で期末4.00円上方修正して、前期比6.00円増配の34.00円(期末一括)としている。5期連続増配で予想配当性向は44.8%となる。DOEは2024年3月期が10.1%、2025年3月期が11.7%と2期連続で2ケタ台を達成している。また株主優待制度については、毎年3月31日時点で同社株式を500株以上保有し、かつ1年以上継続して500株以上保有している株主を対象に、ジェフグルメカード10,000円分を贈呈する。
「居抜き」店舗の活用は廃棄物削減に貢献
4. サステナビリティ経営
同社はサステナビリティ経営も強化している。CSR活動としては2019年6月より、同社が転貸借した飲食店を利用して、子ども食堂「お店のこども食堂」を推進している。食事が十分に取れない子どもへの食事の提供にとどまらず、親の帰宅まで居場所がない子どもへの居場所づくり、子育て支援など、より広く開かれた社会的インフラになることを目指している。この取り組みが評価されて2022年度グッドデザイン賞を受賞した。なお2025年9月末時点の累計実績は参加店舗数が86店舗、食事提供数が10,458食となった。
また店舗転貸借事業は「居抜き」店舗を活用するため、造作物(厨房機器、エアコン、テーブル、床コンクリート、排水管、排気ダクト、看板等)の廃棄量削減に貢献するビジネススキームである。店舗の造作物は一般的に解約時に毎回撤去され、契約時に毎回新たに設置されるのが通常だが、居抜き物件(造作物が残っており、すぐに営業できる状態の物件)を飲食テナントに転貸することで、造作物のリユース・リデュース(再使用・発生抑制)を行い、廃棄物を削減できる。同社の直近5年間の居抜き物件成約数は1,215件(平均物件面積55.3m2)、同物件面積における飲食店の標準的な造作物重量(推計)は約13,200kgであり、削減した造作物の廃棄量を試算(成約件数1,215件×標準的な造作物重量13,200kg)すると約16,038tとなり、大型(10t)トラック約1,603台分に相当する。
各種施策の着実な実行により企業価値向上を目指す
5. 東証プライム市場の上場維持基準適合に向けた計画書
同社は2022年4月に実施された東証の市場区分見直しに伴ってプライム市場へ移行したが、移行基準日(2021年6月30日)時点の流通株式時価総額がプライム市場の上場維持基準に適合していなかったため、2021年12月15日付でプライム市場の上場維持基準適合に向けた計画書を開示した。中期経営計画で掲げた各種施策の着実な実行によって継続的な業績向上と企業価値の向上を図るとともに、積極的な株主還元策、IR活動などの取り組みも強化し、2028年3月末までに流通株式時価総額の上場維持基準適合を図るとしている。
その後、流通株式比率の向上に向けて2023年11月に、自己株式を活用した第三者割当による第3回新株予約権(行使価額修正条項及び停止要請条項付)の発行を決議した。割当先は東海東京証券(株)、発行新株予約権総数は9,000個(新株予約権1個につき100株)、行使可能株価は1,340円、下限行使価額は1,198円、行使期間は2023年12月7日~2026年12月7日、調達予定金額(差引手取概算額)は1,077百万円である。なお同社が保有する自己株式900,608株を活用するため新株は発行しない。流通株式比率の向上により、流通株式時価総額の向上及び1日平均売買代金の増加に好影響を及ぼし、東証プライム市場の上場維持基準の充足に資することが期待される。
また2025年5月13日付で上場維持基準の適合に向けた計画(改善期間入り)に基づく進捗状況をリリースした。2025年3月31日時点では流通株式時価総額がプライム市場の上場維持基準に適合していないため、引き続き中期経営計画で掲げた各種施策の着実な実行によって継続的な業績向上や企業価値の向上を図り、改善期間である2026年3月末時点での適合を目指す。一方で、当期より1年間の改善期間に入っていることを考慮し、状況を鑑みつつ東証スタンダード市場への市場変更も検討するとの認識も表明している。また2025年11月18日付で第3回新株予約権の行使可能株価に基づく行使制限期間を2026年6月5日へ延長した。
転貸借物件数が増加基調である点を評価、利益成長の加速を期待
6. 弊社の視点
外食産業の規模は大きく、店舗数では同社がターゲットとする小規模事業者が大半を占めている。また、開業・廃業による入れ替えが激しいため、同社の「東京・飲食店・居抜き」領域の店舗転貸借事業にとってビジネスチャンスは豊富であり、さらなる市場開拓余地も大きい。こうした事業環境の下、ストック収益のベースとなる転貸借物件数が右肩上がりの増加基調であり、今後も安定的に収益拡大基調が期待できる点を弊社では高く評価している。さらに、これまで推進してきた人材育成や営業組織改革の効果が顕在化してきたことに加え、店舗転貸借事業では空中階や非飲食店舗への事業領域拡大、不動産売買事業では安定的な利益の確保、家賃保証事業では事業展開エリアの拡大などを推進する方針である。人材育成の成果として、物件にあった値付けによって転貸借賃料・粗利が上昇傾向の模様であり、これらの戦略によって中長期的に利益成長の加速が期待できると弊社では注目している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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