明日の株式相場に向けて=「高市サンタ」が届ける国策テーマ株の波に乗る
23日の東京株式市場で日経平均株価は小幅に3日続伸。もみ合いに終始しながらも辛うじてプラス圏で終え、5万円台を維持した。半導体関連株は利食い優勢となり、アドバンテスト<6857.T>などの下げが日経平均を圧迫する格好となった。日経平均の日中値幅は280円程度、プライム市場の売買代金は4兆円台にとどまるなど、海外勢のクリスマス休暇入りを想起させる相場付きでもあった。ところが為替や債券市場をみるとその光景はまるで異なる。片山さつき財務相の相次ぐ円安けん制発言を受けてドル円は前日夕方との比較で1円40銭以上、大きく円高に動くこととなった。更に激しい動きとなったのが円債市場である。長期金利は前日に一時2.100%まで急上昇するなど大波乱の展開となっていたが、23日は一転して2.035%に急低下した。この日は午後に日本経済新聞電子版が高市早苗首相のインタビュー記事を配信。「政権が看板に掲げる『責任ある積極財政』について『無責任な国債発行や減税を行うということではない』と語った」と伝えている。
首相と財務相による市場への相次ぐメッセージの発信は、日銀決定会合後の円安と長期金利の上昇が高市政権にとって、想定外のものだったということを示唆している。日銀の利上げで円安を食い止められず、物価高対策を講じたにもかかわらずインフレが進行し政策効果が限定的なものとなる──。それこそ政権が恐れるシナリオだ。そもそも国際収支におけるデジタル赤字が円安圧力として存在し、日米貿易協議を経て日本企業による巨額の対米投資によるドル買い需要が見込まれるなかで、ファンダメンタルズとして円高に傾きにくい状況にあるのも事実である。為替や債券市場での緊張感が、株式相場の重荷となっている面は否めないだろう。
一方で過去の年末相場を連想させるように、個人投資家による中小型株への高い物色意欲が示された1日でもあった。東証グロース市場250指数の上昇率は1.33%と東証株価指数(TOPIX)の0.53%を大きく上回った。「損益通算目的の売りがピークアウトし、新年相場に向けて『程よい』調整後の反騰を期待した個人投資家の資金が中小型株を押し上げている」(中堅証券ストラテジスト)という。
中小型株のみならず、メモリー価格の高騰によるコスト負担懸念を背景に調整色を強めていた任天堂<7974.T>がこの日は7日ぶりに反発したほか、サンリオ<8136.T>やカプコン<9697.T>などコンテンツ株が頑強な動きを示し、レアアース関連の東洋エンジニアリング<6330.T>やアサカ理研<5724.T>が値を飛ばすなど、国策テーマ株への選好姿勢も顕著となった。コンテンツ関連に関しては高市首相が22日に業界との意見交換会を開いている。同日には南鳥島沖でのレアアース泥の処理施設の設置に関する報道もあった。ともに高市政権が経済成長に向けて重点を置く17分野に関わるテーマである。
こうした国策テーマの循環物色の流れはこの先も継続する公算が大きい。高支持率を誇る高市政権の「ハネムーン期間」は来年1月下旬まで続く。海外勢がクリスマス休暇に入り、全体相場が一段と動意薄となったとしても、政権側による「材料」という名のプレゼントを期待しつつ、国策テーマ株の循環物色の波をつかむ局面にあると言えるだろう。
AI・半導体や防衛、造船などの17のテーマのなかで、比較的見過ごされがちなのが量子であり、量子コンピューティングの研究開発向け製品を扱うインテリジェント ウェイブ<4847.T>など出遅れ感のある銘柄が散見される。九州大学と量子AI活用による先進的ゲノム解析技術の研究成果を今月発表したBlueMeme<4069.T>や、量子ソフトウェアの開発とともに宇宙先端システムにも展開するセック<3741.T>なども要マーク。国土強靱化の文脈で建設コンサルのいであ<9768.T>は戻り歩調をみせている。システム開発の日本システム技術<4323.T>は医療ビッグデータ事業を収益の柱の一つとする。先端医療というテーマ性を踏まえて好実態株の新値追いの展開を期待したい。
あすのスケジュールは、国内では10月29~30日開催分の日銀金融政策決定会合の議事要旨が公表されるほか、東証グロース市場にフツパー<478A.T>とPRONI<479A.T>が新規上場する。11月の企業向けサービス価格指数、10月の景気動向指数の改定値も発表される。海外では米国や英国、フランス、シンガポール、オーストラリア市場などが短縮取引で、ドイツやイタリア、スイス、ブラジル市場は休場。米国では週間新規失業保険申請件数の公表を控えるほか、米国の7年債入札も予定されている。(碧)
出所:MINKABU PRESS
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